都市部を中心に、中大規模木造の計画が活発化している。木造はもはや都市建築の選択肢の1つとなり、設計者には、3つの視点が求められている。まず、国が普及を後押しするCLT(直交集成板)の活用。普及の鍵は材料特性を引き出すことだ。2つ目は、流通する製材を活用して地域のシンボル施設を生むこと。3つ目が、街なかの高層ビルの木造・木質化だ。発注者は環境重視の姿勢を強めており、木造化の流れは止まらない。

(写真:1.艸建築工房、2.イクマ サトシ、3.武藤 聖一)
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  1. どうする? CLTの活用

     この1年にCLT(直交集成板)を用いた事例が相次ぎ完成し、今後の方向性を示唆するケースも生まれている。1つが屋根への利用。CLTパネルで勾配面を複数つくり、それらを接合して折板構造にする。もう1つは鉄骨造のラーメン架構とCLTの耐震壁の組み合わせ。これをプロトタイプとして、様々なバリエーションに対応する。床にCLTを用いれば工期短縮ばかりでなく、建物の軽量化が図れる。

  2. 流通材、どう生かす?

     林業の活性化は大きなテーマだ。一般に流通する製材を用いた設計ならば、集成材工場がない地域でも、地元産材を利用してシンボルとなる施設をつくれる。流通エネルギーの削減も可能だ。また、純木造にとらわれず、鉄骨造とのハイブリッド構造を選択すれば、設計のハードルも下がる。隈研吾氏は、「純木造にこだわる“原理主義”では、結局、木材の使用量は増えない」と言う。

  3. 高層化はどこまで可能?

     ノルウェーの小さな町に世界一高い木造建築が誕生し、話題を呼んでいる。国内では完成は2021年以降となるが、高層木造の計画が相次いでいる。大林組は、11階建ての自社施設を純木造で設計。ヒューリックは12階建ての商業テナントビルを、鉄骨造とのハイブリッド構造で計画している。環境配慮や環境経営を重視する発注者が増えるなか、高層建築の木造化は増加しそうだ。

木造ビッグバンを迎え撃て

出典:日経アーキテクチュア、2019年10月10日号 pp.38-39 特集 木造ビッグバン
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