一般に流通する地元の製材を用いた建築をつくる──。長く親しまれる施設にするためにも、有効な手段だ。だが、木造だけで実現しようとするとハードルは上がる。鉄骨造を併用し、適材適所で設計すればゴールは近づく。

県産ヒノキの製材で組んだ屋根が特徴的だ。設計者の隈研吾氏は、建物本体は無理をせずに鉄骨造を採用。その上に載せた木造屋根の架構では、意匠と構造合理性を両立させる「ずらし」の手法を取り入れた。

 静岡市の日本平夢テラスは、2018年11月のオープンから間もなく1年を迎える。来館者数は100万人を超え、古くからの景勝地である日本平の新しい集客施設として定着しつつある。標高300mの丘陵地にある日本平の見どころは、50kmほど北東にそびえる富士山の眺望だ。眼下の駿河湾や静岡の街の向こうに、大きく裾野を広げる富士山を望める。

 日本平夢テラスは2つの施設から成る。地上3階建てのシンボル施設と、一周が約200mある展望回廊だ〔写真1、2〕。静岡県がシンボル施設、静岡市が展望回廊を建設した。

〔写真1〕富士山を一望する景勝地
標高300mの日本平は古くからの景勝地。晴れた日には、北東50kmの位置に裾野を広げる富士山を一望できる(写真:安川 千秋)
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〔写真2〕棟と谷が繰り返す八角形の屋根
日本平夢テラスは、地上3階建ての「シンボル施設」(写真中央)と、一周が約200mの「展望回廊」から成る。どちらも八角形の平面形。シンボル施設に架かる八角形の屋根は、棟部と谷部が繰り返す独特の形状を見せる(写真:安川 千秋)
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 設計業務は、静岡県が2施設を一括して発注した。16年に静岡県は公募型プロポーザルを実施。隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)を設計者に選定した。

 「富士山を含めた全方向の眺望を楽しめるように八角形の平面形を取り入れた。静岡県には集成材工場が少ないので、県産の製材を生かす展望施設の在り方を考えた」。東京大学教授で、同事務所を主宰する隈研吾氏はそう説明する。

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