世界から注目を集めるライフスタイル型ブランド「エディション」と「エースホテル」の日本初上陸店のデザインを手掛ける隈研吾氏。「むちゃくちゃ面白い」というホテルデザインの真髄とは何か。次世代に模範を示すと語る。

隈 研吾(くま けんご)氏
隈研吾建築都市設計事務所主宰。東京大学教授。宿泊施設に関しては、雲の上のホテル、銀山温泉 旅館藤屋(改修)、ザ・キャピトルホテル東急、ワン・ニセコ・リゾート・タワーズ(改修)、ONE@Tokyoなど多数に携わってきた。コロンビア大学在籍時にイアン・シュレーガー氏にインタビューし、自著「グッドバイ・ポストモダン」(1989年)に収めている(写真:山田愼二)

現在のホテルの状況をどう見ていますか。

 日本のホテルは、1964年の東京五輪前後からつくられてきたわけですが、世界から大きく遅れを取っている。あえて厳しく表現するならば、「失われた半世紀」があると言っても良いのかもしれません。

 日本には、旅館に代表されるホスピタリティーの精神が伝統的に根付いています。世界をリードするクオリティーであったにもかかわらず、近代的なホテルに移し替える作業がうまくいかなかった。今後、世界の都市の中で存在感を強めるには、日本の文化を日本人自らの手で翻訳していくことが重要だと感じています。

 海外の人が手掛けた日本的なものの評判が悪いのは、その表現に彼らが自信を持ち切れていないからです。自分が日本人だという自信があるからこそ思い切った挑戦ができます。今は、現代的かつ大胆な視点で日本文化を掘り下げる新しい発信の仕方が面白い。例えば日本の路地には、世界に類を見ない狭さや密度感があります。そういう空間と一体化したホテルがあっても面白いと思います。

 「東京エディション虎ノ門」は、国際的なビジネス・交流拠点を創出する大規模再開発の一部を担うものです。そうしたオフィス空間から、どのように空気感を一変させるかを重視しました。「東京エディション銀座」は逆に、銀座の裏通りが持っている面白さが、シームレスにホテルの中に流れ込んでくるような、街との関係をデザインしています〔図1〕。

〔図1〕2021年前半に開業の「東京エディション銀座」着工
上のパースは、この7月に着工した「東京エディション銀座」(約80室)。開業は、再開発ビル「東京ワールドゲート」内の「同虎ノ門」(約200室)が先行し、20年春~夏になる見込み(資料:森トラスト)
1.東京都中央区銀座2-3-13他   2.約7323m2   3.地下1階・地上14階   4.─   5.─   6.レストラン、ロビーバー、ルーフトップバー、フィットネス   7.森トラスト   8.マリオット・インターナショナル   9.隈研吾建築都市設計事務所・安藤ハザマJV   10.安藤・間
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 「エースホテル京都」の仕事に関心を持ったポイントもストリートです〔図2〕。ポートランド(米オレゴン州)のエースホテルを訪問した際、車社会の米国にもストリート文化が生まれつつあると感じました。その発信源がポートランドで、世界のコンパクトシティーのリーダーともいわれます。そうした方向性を京都の路地空間と掛け合わせれば、新しいホテルが提案できると考えました。

〔図2〕2020年春に開業を控える「エースホテル京都」
213室のホテル、店舗から成る「新風館開発計画」として進む。「エースホテル」はアジア初出店(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
1.京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2外   2.22万5677m2(店舗との複合)   3.地下2階・地上7階   4.─   5.─   6.─   7.NTT都市開発   8.UDホスピタリティマネジメント   9.NTTファシリティーズ、建築デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所   10.大林組
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建築概要は 1.所在地 2.面積 3.階数 4.客室面積 5.客室料金(原則1人・1泊、季節変動などがある)6.主な付帯施設 7.事業者(開発)8.運営者 9.設計者 10.施工者 を記載。いずれも「予定」を含む。「─」は未定あるいは未公表

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