「B/S(ビーエス)」、すなわち貸借対照表を用い、事務所の財務状況が健全であるかを自己点検できるようになろう。今回は、B/Sの構造、および長期的な視点の経営診断に役立つ財務関連の指標を解説する。

(イラスト:香川かづあき)

 「B/S」とは、資金の調達・運用など事業体の財務の状態を表す財務諸表(決算書)の1つだ。〔図1〕のように「資産の部」「負債の部」「純資産の部」で構成される。B/Sの役割は様々にあるのだが、例えば「財務の安全性」に着目し、ある時点における危険度を診断するために用いる。

〔図1〕貸借対照表(B/S)の概要と計上される項目

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〔設計事務所の場合の計上の対象〕

  1. 建築設計料など販売済みのサービスの代金の期末未回収額
  2. 期末仕掛中の設計プロジェクトの原価(=仕掛品等)
  3. 制作材料費や制作外注費などの期末未払い額
  4. 販管費の期末未払い額など上記以外の期末未払い額
「純資産」とは、資本金などの元手部分と会社が過去に積み上げてきた利益の総体。優良な会社であれば次第に黒字が膨らみ、利益剰余金の部分が厚くなる。長期的には、利益剰余金を積み上げながら自己資本比率(自己資本/総資産)を高めるのが経営安定化策の基本だが、逆にため込み過ぎているなら、新規事業などに対する投資や配当の実施を積極的に検討する(資料:公認会計士山内真理事務所)

 B/Sの表の左側には、資産の部が記される。会社に必要な資金が今どういう運用状況にあるのか、その使い道を表している。

 このうち「流動資産」の内訳を見れば、その運用が現預金の状態なのか、既に仕事が終わって販売済みながら代金は未回収の状態で残っているのかなどが分かる。プロジェクトが進行中であれば、将来の売り上げに対応する原価の部分が仕掛品(しかかりひん)(仕掛中のプロジェクトの原価)の形で計上される場合もある。なお仕掛品は、一般には棚卸資産と呼ぶ項目の中に記される。

 比較的短期(1年内)に資金化される資産や、資金そのものが流動資産として集計される一方で、長期にわたって収益に貢献し、資金化される資産を「固定資産」と呼ぶ。土地、建物、設備、機械、備品といったものが該当する。

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