図面のない建物で、建築確認を伴う改修を行うのは難しい。建築基準法ができる前の建物であればなおさらだ。高知県宿毛(すくも)市は、明治中期の古民家に用途変更や増築を含む大改修を施し、交流施設として再生した。

 築130年。多くの政治家を輩出した高知県宿毛市の名家、林家の旧邸が、市民交流施設の「宿毛まちのえき林邸」として生まれ変わった。

 「文化財としての保存も検討したが、歴史的観光資源として広く市内外の人に使ってもらいたいと考えた」。宿毛市教育委員会(計画時は市商工観光課)の大塚憲三氏はそう振り返る。既存建物をできるだけ保存するという方針の下、市民の交流施設(公民館、資料室)とカフェのほか、「お遍路」用のシャワー室や24時間使用できるトイレを設けた。

 改修後の建物は、1階のカフェとその上階に配した格子状の耐力壁が目を引く〔写真12〕。それ以外のエリアでは、縁側が巡り、障子で仕切った伝統的な木造家屋のつくりをできるだけ残した〔写真3〕。

〔写真1〕増築して新機能を配置
既存の水回りを撤去して増築した1階カフェの外観。2階の「月見の間」は既存建物を残した(写真:浅田美浩)
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〔写真2〕新旧の要素を対比
カフェの上に位置する「月見の間」。新旧の融合を象徴する組子細工耐力壁を配した。建物の各室は自由に見学することができ、貸し室としても利用可能。2018年4月の開館後、初年度は1万6000人が来館した(写真:浅田美浩)
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〔写真3〕開放的な空間を生かす
資料室から座敷側を見る。雨戸のあった軒下にガラスの横引きシャッターを設けて全開できるようにした。北側の庭に向けて縁側を配した開放的なつくりを最大限生かした。縁側全体を使って、排煙上有効な開口部の面積を確保(写真:浅田美浩)
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