中村拓志氏の初海外案件がフィリピンで着工した。海外から依頼を受けながらも約10年、政変などで実作に至らず苦い経験をした。そうした原因を分析して講じた契約や組織づくりには、独自のこだわりがある。

 「国内作品や実績がメディアを通じて評価され、海外に出るタイミングが来た」と話すのは、NAP建築設計事務所(東京都港区)の中村拓志代表だ。同社はフィリピン・マニラで「聖マリア大聖堂 マニラ」〔図1〕のプロジェクトが2020年5月完成に向けて進行中。台湾北西部でも大規模なリゾート開発を計画中だ。

〔図1〕初海外案件は大聖堂
フィリピン・マニラの郊外に建てる大聖堂のイメージ。広島県尾道市の「リボンチャペル」を見た発注者から国際コンペに招待され、選出された。2020年5月に竣工予定(資料:NAP建築設計事務所)
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 意外にも思えるが、中村代表にとって海外での実作は聖マリア大聖堂が初めてとなる。そのきっかけの1つが広島県尾道市に立つ「リボンチャペル」(2013年竣工)〔写真1〕。らせんを描くシンボリックな形態が注目を集め、海外からも設計依頼が相次ぐようになった。「海外営業をただ展開してもだめ。国内で真摯につくった実績が、海外での評価につながる」と中村代表。聖マリア大聖堂では、国際指名コンペに招待され、選ばれた。

〔写真1〕写真映えで海外の依頼が増える
2013年に竣工した、広島県尾道市の「リボンチャペル」。インスタグラムで写真が流通し、設計依頼が増えた。「国内より、海外からじわじわと反響がある」と、中村代表は分析する(写真:生田 将人)
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