現場作業の効率化に向けた新技術の開発とは別のアプローチでも生産性向上に取り組むのが、大成建設だ。現場の日々の困り事に対応しながら、有益な情報を「生産性向上新聞」で共有。本社と現場をつなぐ。

 部門や支店の垣根を越えた交流、刺激によって化学反応を起こし、生産性を上げる──。大成建設が生産技術推進部を創設したのは2017年4月。現場を支援する技術開発部隊である建築総本部内に創設され、成果を上げつつある。

 同部の立ち上げの先導役を担った建築総本部の池田宏俊副本部長は、「技術センターや各本部、支店、現場を横断し、時には社外を巻き込みながら、現場と一緒になって問題を解決するネットワーク型の組織。目指すのは、自ら行動して現場を変えていく、先進的でアクティブな改革だ」と説明する。

縦割り部門の隙間を埋める

 この現場改革の中核を担う秘策の1つが、ホテルのコンシェルジュのように現場の日々の困り事に対応する専門職だ。

 初代コンシェルジュは、生産技術推進部の田中吉史課長〔写真1〕。これまで施工管理を約15年間、現場支援のための技術開発などを約10年間、それぞれ担当してきた。

〔写真1〕現場の困り事を解決するコンシェルジュを配置
大成建設建築総本部の田中吉史・生産技術推進部課長(左手)。同部には現在、7人が在籍。田中課長は、施工管理と技術開発の経験を生かし、現場の困り事を解決に導く“コンシェルジュ”の役割を担う(写真:日経アーキテクチュア)
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 「現場の苦労や本社への要望、本社側が現場に対して感じている思いなど、両方を分かっているつもりだ。その隙間を埋めるようにして、お節介を焼くのが仕事だ」。田中課長はコンシェルジュの役割をこう説明する。

 現場から相談を受け、すぐに使える技術を紹介したり、活用できそうな新技術を見つけると現場に採用を持ち掛けたりする。企画書をつくって現場の代わりに予算を確保することもある。技術者が情報収集や検討に費やす時間と労力を減らし、着実な生産性向上につなげている。

 そうした日々の活動に加え、社内に向けた情報共有にも積極的に取り組んでいる。例えば社内向けのSNS(交流サイト)〔図1〕。「現場や支店に足を運び、打ち合わせをする中で全社に広めた方がよいと感じたものを紹介している」(田中課長)。投稿を見た社員からは、SNS上でダイレクトに反応がある。田中課長は、リアルタイムに補足説明をしたり、導入のための具体的な方法を伝えたりする。

〔図1〕社内SNSで口コミ発信
田中課長が社内SNS(交流サイト)で配信する「記者の独り言」の一例。ほぼ毎日更新し、200件以上の「いいね!」が付く投稿もざらにある(資料:大成建設)
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