何らかの音が聞こえるものの、どこから発生するのか特定しにくい。熱や風などに起因する「異音」も、建物に関わる音トラブルとしては少なくない。数多くの事例を分析することで、異音の発生源と聞こえ方の関係が見えてきた。

 建物で生じる音問題は、音の発生源が明確なものばかりではない。建物から何らかの音が聞こえるものの、その音がどこから発生するのか、特定しにくい「異音」も存在する。

 そういった異音について、日本騒音制御工学会は「不思議音分科会」を設け、情報収集や原因・対策の分析などを進めている。1999年に前身のワーキンググループを立ち上げ、施工者から原因の特定が困難だった音の事例を集めたのが始まりだ。

 分科会の主査を務める鉄建・建設技術総合センター研究開発センターの中澤真司所長は、「当初は不思議音と名付けたが、原因が分かれば不思議ではない」と話す。数多くの事例から一定の傾向が見えてきた。

 異音の原因で一番多いのが熱だ。部材が熱伸縮することにより、部材自体や接触箇所との間で、パシッ、ピシッといった破裂音や、コン、ゴン、トンといった衝撃音が生じる。

 例えば、鉄筋コンクリート造の集合住宅でチン、コンと瓶を引っかいたり爪でたたいたりするような高い音が聞こえた。音は朝夕に多いが、昼夜を問わずほぼ毎日、生じた(事例11)。

11 設備 排水管が温水で熱伸縮
排水横引き管が温水で熱伸縮し、排水管を支持するアングルとこすれて異音を生じていた。Uバンド部分にゴムを入れてアングルと排水管を絶縁した (資料:日本騒音制御工学会)
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 調査の末、排水横引き管が音の発生源だと突き止めた。給湯器を使ったときに、流れ込んだ温水の熱で排水管が伸縮し、排水管を支えるアングルとこすれて音が生じていたのだ。Uバンド部分にゴムを入れ、配水管とアングルを絶縁することで音の発生を解消できた。

 熱による音は日射でも生じる。別の集合住宅では、外壁のPCa(プレキャストコンクリート)板から異音が聞こえていた。夕方に西日で熱膨張し、夜間に収縮することで、PCa板上部の半固定ボルトがずれて音が生じていたのだ。すべり材を挿入し、ボルトを緩めに締めて解決した(事例12)。

12 外壁 PCa板の半固定ボルトが熱ずれ
外壁のPCa板が夕方に西日を受けて熱膨張し、夜間に収縮したことで、PCa板上部の半固定ボルトがずれて音が生じていた。すべり材を挿入し、ボルトを緩めに締めたことで解決した(資料:日本騒音制御工学会)
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