音は集合住宅で特にトラブルになりやすい。音の捉え方は人それぞれ。客観的な指標を持ち出しても、問題の解決に至らないケースが少なくない。しかし、建物内の騒音であれば「設計時に9割が解決可能」という専門家もいる。

 集合住宅で紛争になった不具合の多くは、音が原因だ。建築基準法では音に関する規定が少ないが、設計時の配慮を欠くと、後に痛い目を見る。音トラブルを防ぐには、建物と音の特性を知る必要がある。

 私たちが快適に暮らせる音の上限は、50dB(デシベル)前後といわれる〔図1〕。前記事までに紹介した神戸市の保育施設を巡る裁判でも、50dBが基準となった。ただ、音の捉え方には個人差がある。自分が気にならない音でも、他人にとっては耐え難い騒音に聞こえる場合もある。それが現代の音問題の根底にある。

〔図1〕50dBが日常的な音の基準
環境音や人の声を基準とした音の大きさ。日常的な音の基準は50dBといわれる。数値が10dB上がると耳に聞こえる音量は倍になったように感じる (資料:大建工業の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 「過敏になる音問題」のグラフで示した通り、住宅リフォーム・紛争処理支援センターが集計した「住宅相談統計年報2018」によると、共同住宅で紛争の争点になった事象には、「音」に関する項目が目立つ。床などの遮音不良を原因とする紛争が全体の15.2%と、ひび割れに次いで2番目に多い。排水配管などで発生しやすい異常音も9.4%に上る。共同住宅での紛争の原因は、その多くが音に由来するといえる。

 かつて騒音といえば、外部から侵入した音が建物内に響く事例が多かった。建築技術が進化して高気密な空間が実現したことで、外部騒音に関する苦情は少なくなっている。その一方で、建物内で発生した騒音への対策がより重視されているのだ。

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