(イラスト:宮沢洋)
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Q1 建築確認が不要な耐震補強はどこまで?

A
  • 「巻く」だけの補強は申請不要
  • バルコニーへのフレーム補強は申請不要の場合も
  • 耐震改修促進法の「計画認定」を受ければ、補強による増築も特例扱いに

 全国の既存建築物のなかには、現行の耐震規定を満たしていないものが数多く残っている。国土交通省が2018年4月に公表した集計によると、全国で1万600棟ある要緊急安全確認大規模建築物(不特定多数が使う大規模建築物)のうち、16%に当たる約1700棟が「震度6強の大規模地震で倒壊危険性がある」と判定された。だが、それら全てを建築確認の必要な改修で対応しようとすると、補強以外の法適合の工事が大掛かりとなり、耐震補強は進まない。

 耐震補強する際に、確認申請をしないで済む方法は大きく2つある。1つは、大規模の修繕・模様替えに該当しないよう、「主要構造部の過半」にならない範囲に補強部位を絞る方法だ(「主要構造部」については下の囲み参照)。

勘違いしやすい「主要構造部」の意味

 耐震補強では、屋根材を軽い材料にふき替えるケースがある。これは建築確認の対象となるのだろうか。

 建築確認が必要な「大規模の修繕・模様替え」とは、「建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の修繕・模様替え」(建築基準法2条14号、15号)を指す。屋根は主要構造部に当たるので、屋根全体の過半をふき直す場合には基本的に確認申請が必要となる。

 なぜ屋根材が構造?と思った人もいるだろう。「構造」という言葉が含まれることから、主要構造部とは構造耐力と関係する部分だと誤解する人が多い。しかしそれは誤りで、防火上の観点から主要とされる「壁、柱、床、梁、屋根または階段」を指す(法2条5号)。屋根は主要構造部だが、基礎は主要構造部ではない。防火上重要でない間仕切り壁、屋外階段も主要構造部に該当しない。

 建物の荷重を支える要素については、主要構造部とは別に「構造耐力上主要な部分」(建築基準法施行令1条3号)を定めている。

 例えば柱の場合、建物全体の総本数に対する補強本数を半分以下に納めれば、確認申請の必要はない。

 また、柱や梁の場合、金属板や炭素繊維シートを巻くなどの補強方法は修繕や模様替えに該当しないので申請の必要はない〔図1〕。ちなみに炭素繊維シートは新築時には主要構造部に使えないが、耐震補強では使用できる(2001年国土交通省告示1024号「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」について)。

〔図1〕「巻く」だけの補強なら申請不要
炭素繊維シートは、耐震補強では主要構造部に使用することができるが、新築時では主要構造部に使えない(資料:ビューローベリタスジャパンの資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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