(イラスト:宮沢洋)
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Q1 大規模修繕や模様替えで遡及適用となる項目は?

A

  • 緩和規定があり、耐火要件や容積率など「外部」の既存不適格は遡及不要
  • 一方、採光や内装制限など建築物の内部にかかる項目は遡及適用される

 大規模の修繕・模様替えを行う建築物が既存不適格建築物である場合、全ての項目について現行建築基準法への適合を求めると過度な負担になる場合が多い。そのため、様々な緩和措置が設けられている(建築基準法86条の7、建築基準法施行令137条の12)。主な緩和項目を挙げてみよう。

 (1)構造耐力──法20条の構造耐力の規定は、構造耐力上の危険性が増大しない場合には適用されない(建築基準法施行令137条の12第1項)。この「構造耐力上の危険性の増大」とは、屋根でいえば、既存の屋根と比べて重い屋根にふき替えることなどが挙げられる(これについてはQ2で詳述する)。

 (2)石綿──新築ではすべての部分で石綿(アスベスト含有建築材料)を使ってはいけない。大規模の修繕・模様替えの場合には、工事対象とならない部分には緩和の規定があり、アスベスト含有建築材料の除去、封じ込め、囲い込みの措置が認められる(令137条の12第3項)。

 (3)用途規制──建設後に敷地の用途指定が変わり用途上の既存不適格となっていたとしても、用途変更を伴わない大規模の修繕・模様替えでは、用途規制は適用されない(令137条の12第4項)。つまり、そのままの用途で使用することができる。

耐火や容積率は遡及せず

 (4)その他の規制──大規模の修繕・模様替えでは形状や大きさが変わらないので、耐火要求(法27条)や容積率(法52条)などは適用されない(令137条の12第2項)。建設後に敷地の地域地区指定が変わり、耐火要件や容積率が既存不適格となっていたとしても、大規模の修繕・模様替えの場合は既存不適格のままでよい。

 だが、下の表〔図1〕のように、避難や消火、採光や内装制限など「建築物内部」にかかる規定は大規模の修繕・模様替えでも適用される。このため、これらが既存不適格である場合は大掛かりな工事となる可能性が高いことを念頭に置いておきたい。

〔図1〕大規模の修繕・模様替えで遡及適用される規定
※は2019年6月以降に改正予定(資料:ビューローベリタスジャパンの資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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そもそも「大規模」とは?

 増築を伴わない改修工事であっても、「大規模の修繕」や「大規模の模様替え」に該当するものは、建築確認の対象となる(いわゆる四号建築物は除く)。ここで、「大規模」とは何を指すのか。

 「大規模の修繕・模様替え」は、「建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の修繕・模様替え」を指す(法2条14号、15号)。つまり、(1)建築物の主要構造部であること、(2)修繕、模様替え部分が過半になること──の2つが要件となる。

 では、「過半」とは何を指すのか。例えば、柱の総本数×0.5超を取り替える場合や、外壁の総面積×0.5超をつくり替える場合が「過半」に当たる。柱の総本数とは、各階の柱の合計で、各階の本数ではない。

 柱の場合、金属板を巻くなどの単なる補強は修繕や模様替えに該当しない。また、対象となるのが「主要構造部」であるので、主要構造部に該当しない間仕切り壁の修繕は、面積が全体の過半であっても確認申請の対象とはならない。

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