遅ればせながら、あけましておめでとうございます。読者の皆さんにとって、2018年はどんな1年だったでしょうか。

 一般的に「年頭の挨拶」は雑誌の巻頭でするものですが、日経アーキテクチュアの場合、この欄が「編集長のコラム」として認知されていると思うので、ここで2019年の抱負を少し書かせてください。


 前号のこの欄にも書きましたが、18年は本当に災害の多い1年でした。今年は穏やかな1年を……と言いたいところですが、19年は五輪需要がピークを迎えるともいわれるほか、法制度の改正も多く、さらには平成から新元号への切り替わり、消費増税と、昨年以上に騒がしい年になりそうです。

 今号では早速、「五輪前年、景気どうなる?」からのトピックスで建設業界の景気見通しについて、「重要改正相次ぐ法制度」からの特集で法制度の変革について詳述しました。次号は、全国で進行中の注目プロジェクトを主要都市ごとにまとめます。そして2月上旬号・下旬号は、連続特集「内藤廣氏と読み解く平成建築全史(仮題)」の予定です。


 現在のような変革の時代にチャンスをつかむためには、3つの力が必要だと考えています。

 まず、「先を読む力」。新規のプロジェクト計画や自組織の将来像を検討するには、未来を分析する力が必要であることは言うまでもありません。

 けれども、計画開始から5年、10年と時間がかかる大規模プロジェクトの場合、スタート時にいかに的確に先を読んだとしても、読みとは異なる状況が発生します。新しい技術や建材も開発されます。「修正する力」がとても重要になります。

 先を読む力と修正する力は、結局のところ、過去と今を読み解くことからしか生まれません。AI(人工知能)が将棋などの先読み競技で人間を超えるようになったのは、徹底した情報分析の結果です。


 そして、もう1つ、大変革の時代だからこそ特に重要な要素。それは「熱意」だと筆者は考えます。

 「馬車をいくら調べても、そこから鉄道は生まれない」――。AIにイノベーション(革新)は起こせない、という例えでしばしば使われる言葉です。AIに本当にイノベーションが起こせないのかは筆者には分かりませんが、人間が「馬車」を脱して「鉄道」を発明できたのは、あらゆる領域の動きを結び付けて考えてきた先人たちの熱意によるところが大きいのではないでしょうか。

 最後だけ根性論か、と言われそうですが、そこは「人が何のために働くか」「なぜ自分は建築(あるいは都市)という領域を選んだのか」といった根源的な問いと直結するとても重要な要素だと筆者は考えます。

 日経アーキテクチュアは19年も様々な記事を通して、「先を読む力」「修正する力」「熱意」の糧となる情報を提供してまいります。どうぞご期待ください。

日経アーキテクチュア  編集長 宮沢 洋

出典:日経アーキテクチュア、2019年1月10日号 p.98 建築日和
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。