新元号「令和」の幕開けまで残り数日となりました。「正直、まだしっくりこない」という人が多いかもしれません。「しっくりこない」人の多くは、「令」の意味がピンとこないのではないでしょうか。元号に「和」が使われるのは20回目で、「令」は今回が初めてだそうです。

 政府の公式説明によれば、「令和」の2文字は、万葉集に収録された梅花の歌の「序」から引いたもの。「初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」。そんな文章です。

 「令月」という言葉は一般の辞書にも載っていて、「何事をするにも良い月」の意味。つまり、ここでの「令」は、「何事をするにも良い」「素晴らしい」という形容詞になります。


 ただ、建築関係者が「令」の字を見て思い浮かべるのは「建築基準法施行令」など、「規範」や「秩序」という意味ではないでしょうか。海外メディアの多くもそう受け取ったようで、例えばBBC(英国放送協会)は、「order(秩序)and harmony(調和)」と報じました。

 これに対し日本政府は、各国の日本大使館に「beautiful harmony(美しい調和)」と説明しているそうです。つまり、「order and harmony」は正解ではないのですが、個人的にはそちらの英訳に引かれます。

 2月上・下旬号の日経アーキテクチュア特集「検証 平成建築史」で振り返ったように、建築分野では平成の時代、“秩序の軽視”が様々な問題を生みました。平成の次の時代は、「新しい秩序」が「調和」をもたらす時代としなければなりません。


 日経アーキテクチュアは、「令和」の幕開けを控えた今号から7月11日号まで、「令和の革新」を共通テーマとしたシリーズ特集を展開する予定です。

  • 4月25日号「職人危機 本気の一手」
  • 5月9日号「インド&中国、成長都市の新流儀」
  • 5月23日号「アジア進出のリアル」
  • 6月13日号「日本版エコハウスの目指すべき道」
  • 6月27日号「法規で切り開く新時代リノベ」
  • 7月11日号「ポスト平成の旗手たち」(5月9日号以降は仮題です)

 昭和の成長期に最適化された建築分野の秩序は、様々な領域で破綻を来しつつあります。シリーズ特集「令和の革新」では、国内外の最新動向から新しい秩序のヒントを探ります。どうぞご期待ください。

日経アーキテクチュア編集長 宮沢 洋

出典:日経アーキテクチュア、2019年4月25日号 p.86 建築日和
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