米国「F・L・ライトの20世紀建築作品群」が7月、世界遺産に登録された。その1つで改修を終えたロビー邸をシカゴに訪ねた。ミース・ファン・デル・ローエの住宅と併せてリポートする。(伊藤 みろ、Andreas Boettcher=ともにメディアアートリーグ)

ライトのロビー邸
国際水準の博物館改修規定をクリア

 今回、ユネスコの世界遺産入りしたフランク・ロイド・ライト(1867~1959年)の作品群の1つ、フレデリック・C・ロビー邸は、ハイドパーク地区に立つ。今年3月に終わった大掛かりな改修工事で、2階のリビングやダイニングルーム〔写真1〕をはじめ、主室の内装がほぼ当初の状態に戻った。

〔写真1〕ライトによる柱のない開放的な空間
ロビー邸のダイニングルーム。同邸は、壁や柱のない開放性、壁一面の開口などが特徴で、シカゴ万博(1893年)の日本パビリオンに着想を得たライトによるプレーリースタイルの完成形(写真:伊藤 みろ)
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 1910年完成のロビー邸は、米国中西部の平野をイメージした「プレーリースタイル(草原様式)」の完成形といわれる。水平線を強調したデザインが特徴だ。多層の屋根と深い軒庇の形状、壁一面の開口など、日本の伝統建築との共通点も多い〔写真2〕。

〔写真2〕ライト・トラストが借り受けて運営
ロビー邸は1926年まで個人宅として利用された後、所有権がシカゴ神学校、シカゴ大学に移った。1997年からフランク・ロイド・ライト・トラスト(FLWT)が協同組合リース契約で建物を借り受ける(写真:FLWT)
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 同邸の管理と運営は1997年、シカゴ大学からフランク・ロイド・ライト・トラスト(FLWT)に移された。FLWTで今回の改修設計を担当したカレン・スウィーニー部長によると、97年以来、国際水準の博物館改修規定に基づく修復が行われ、ユネスコ世界遺産登録の基準を満たした。

 建物の改修記録がないため、保存委員会で検討した結果、上階のつくり付けの家具や開口部で改変があったと推測。それらの原状復帰も含め、改修工事に総額1100万ドル(約11億5500万円)を投じた〔写真3〕。

〔写真3〕2階メインフロアにリビングやダイニング
修復後の2階リビングルーム。写真右手の暖炉を挟んで向こう側がダイニング(写真:FLWT)
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1910年撮影のオリジナルのリビングルーム(写真:Henry Fuermann Courtesy of the Art, Architecture & Engineering Library Special Collections, University of Michigan, Ann Arbor)
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