大火からの復興のシンボルとなる住宅をあえて木造で建て、景観との調和や地元産業の活性化を狙った。中庭側に全住戸の入り口を向けた配置は、海からの強風への対策であると共に、住民同士の見守りと交流を促す工夫だ。

 2016年12月22日、新潟県糸魚川市駅北地区で発生した大火の被災地に立つ市営住宅だ〔写真1〕。自力再建が難しい被災者向けに、糸魚川市が「復興まちづくり計画」の一環として建設。19年3月に竣工した。敷地は、被災地域北部の戸建て住宅が集中していたエリア。中心市街地を東西に横断する本町通りを越えた海側に位置する。

〔写真1〕ナカニワを挟んで2階建てと3階建て
敷地の東西に延びる「ナカニワ」を挟んで、左側が2階建ての南棟。6住戸に加えて、住民と市民をつなぐ交流スペースが入る。右側が3階建ての北棟。12住戸と駐輪場、訪問診療所を併設している(写真:安川 千秋)
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断面図
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 設計を担当したのは、スタジオ・クハラ・ヤギ(東京都千代田区)。17年10月に行われた公募型プロポーザル参加者の中で唯一、木造の復興住宅を提案。最優秀者に選定された。同事務所代表の八木敦司氏と久原裕氏は、木の新しい可能性を模索するNPO法人「チーム・ティンバライズ」に所属し、都市木造や耐火木造の普及に取り組んでいる。

 「審査会では、不燃化への対応だけでなく、景観への配慮や地元木材の利用促進など、市の復興方針に合った提案内容が評価された」。駅北復興住宅の建設を担当した糸魚川市産業部建設課建築住宅係の久保田雅樹氏は、こう振り返る。もともと木造住宅が多く、木造は周囲の景観になじみやすい。入居予定者にもすんなり受け入れられたという。

 木造3階建て共同住宅は本来、耐火建築物でなければならない。しかし、「木3共仕様(木造3階建て共同住宅の仕様)」の緩和規定に従うことで、3階建て共同住宅を準耐火建築物で建てられる。主要構造部の耐火性能を1時間以上とするほか、避難上有効なバルコニーを設置して2方向避難を確保、3階の各住戸の開口部が幅4m以上の道路に面する、上階への延焼を防ぐ庇を設けるなどの条件を満たすことが必要だ。

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