付帯施設の建て替えで印象を一新。築21年の社宅が、街に開いた分譲マンションに生まれ変わった。里山の自然を切り取ったような緑化屋根と、日中は地域に開放されるシェアスペースが、住人と街をつなぐ。

 三鷹駅の徒歩圏内に立つ大手企業の元社宅を改修した全18戸の分譲マンションだ。2019年6月末に入居を開始した。事業主は住宅を中心にリノベーションを手掛けるリビタ(東京都目黒区)。「場づくり」に力を入れようと、エントランスホールや共用部の設計を納谷建築設計事務所(川崎市)の納谷新氏に依頼した。

 既存建物の閉鎖的な印象を解消するために、前面道路側にあったトランクルームなどを解体。その場所に新たな顔となるエントランスホールを増築した。シェアスペースを兼ねることで、日常的にコミュニケーションが生まれることを狙った〔図1、写真1〕。

〔図1〕付帯施設を建て替えて街に開く
5階建てのマンション棟と道路に間に立っていたトランクルームなどを解体。シェアスペース「manabino(マナビノ)」を兼ねるエントランスホールを増築した。日中は地域に開放し、交流の場とする。住民主体で学びをテーマにしたイベントや習い事などを運営していく予定だ(写真:浅田 美浩)
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〔写真1〕街に開くガラス張りエントランス
上は改修後、下は改修前で黄枠部分を解体。閉鎖的な印象だった外観をガラス張りのエントランスホールで一新した。両脇の駐車場などを含めて草屋根が全ての付帯施設を覆う(写真:上は浅田 美浩、下はリビタ)
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 最初の1年間は、リビタが選んだ活動パートナー企業がシェアスペース「manabino(マナビノ)」の企画・運営をサポート。4月から体験教室や街歩きイベントなどを開催している。

 増築部を特徴付けるのは、緑化した大きなボールト屋根だ。最高高さは、2階へ上がる階段踊り場の手すり高さに合わせた。踊り場に立つと、目の前に緑化屋根が広がる。緑化に用いたのは野芝と「アゼターフ」。アゼターフは里山から採取した植物による植生マットで、季節ごとに様々な草花が芽を出し、花を付ける。

 屋根は前面道路に向かって緩やかに下がり、軒下の一番低い部分は高さ約2mだ。納谷氏は「人が集まる場所は高さを抑えてヒューマンスケールな空間に。街に対して優しい顔にした」と語る〔写真2〕。

〔写真2〕シェアスペースが街を照らす
日が暮れた後、エントランスホール兼シェアスペースの明かりが街を優しく照らす。共用部の明るさを気に入って購入を決めた入居者もいる。夜間はエントランスホールへの入り口をオートロックに切り替える(写真:浅田 美浩)
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