生活の場を切り妻形状の大屋根で覆った開放的な建物だ。大屋根は、大小のトラスを入れ子状に組み合わせて大きな三角形を形成するトラス構造。架構を合理化し、多雪区域でも120mm角の規格材で大空間を実現した。

 「屋根と床さえあれば成立する。そんな生活の場を提案に込めた」。hara house/中之島の家の設計を手掛けた東海林健建築設計事務所の東海林健代表の言葉通り、三角形の大屋根がそのまま地面に置かれたような住宅だ。新潟県中部の多雪区域に立ち、夫婦と子ども2人が暮らす。

 この印象的な形体をつくり出している架構を、設計者らは「軸材トラス」と呼ぶ。軸材トラスは、小屋組み部分と1階の左右軒部分の上下計3つのトラスを組み合わせ、底辺約8mの大きな二等辺三角形の断面としたものだ〔図1、写真1、2〕。

〔図1〕120mm角の米マツ材をプレート製作金物で接合
短手方向の架構詳細図。小屋組みトラスと軒トラスを組み合わせて「軸材トラス」を形成する。軸材トラスが約900mmピッチで長手方向に連続することを基本とした(左)。全構造材には、120mm角の米マツ材を採用。右の写真のように、端部の接合には複数の部材が集中するので3次元CADで綿密に検討し、納まりを決めた(写真:東海林健建築設計事務所)
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〔写真1〕テントのような大屋根の外観
南東側から見た外観。アプローチテラスや駐車スペースに下屋を設けて、テントを持ち上げたような意匠とした。建て主の家族はアプローチテラスに面した掃き出し窓から出入りしている(写真:安川 千秋)
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〔写真2〕アプローチテラスは屋外リビング
前面道路に面したアプローチテラス。約1800mmの奥行きがあり、下屋が架かっているので、屋外リビングのように利用されている。下屋はあえて左右対称を避け、動きのある印象にした(写真:安川 千秋)
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 同トラスを約900mmの均等なピッチで長手方向に連続させることを基本とし、意匠や構造的要件、間取りなどに合わせて柱や梁を抜いた。長手方向の登り梁には、室内側と室外側の両面に構造用合板を張り合わせて耐力を高めている。軸材トラスをはじめ、全構造材には、規格材である120mm角の米マツを採用し、コストダウンにつなげた。

 シンプルな架構の連続ながら、接合部は最大6方向の部材が交差する。複雑な納まりは、構造設計を手掛けた田中哲也建築構造計画と3次元CADを用いて綿密に検討。オリジナルのプレート金物を製作するなど、接合部のディテールを合理化した。

 屋根の傾斜角度も検証を重ねて決めた。敷地は垂直積雪量180cmの多雪区域。その負荷に耐えられるようにしたうえで、屋根の傾斜は雪が滑り落ちやすいように設計した。犬走り部分には融雪パイプを敷設し、除雪の手間が省けるよう配慮している。

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