高知の古刹、五台山竹林寺(ちくりんじ)の本坊・庫裏が建て替えられ、参拝者が最初に目にする寺の顔が一新した。様々な制約があったが、通路兼広場を中心に配置し、開かれた寺のたたずまいを実現した。

左側の棟が寺務所機能を有する本坊、右側の棟は住職とその家族が暮らす庫裏。2棟の間に見える古い妻壁は既存の奥書院。左奥の低い建物は納経所で、その地下に位牌堂がある。参拝者の多くは本坊の手前に設けられた参道から境内に向かう(写真:生田 将人)
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改築後配置図
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 724年に開創された高知市の竹林寺は、四国霊場の札所の1つであり、多くの参拝者や観光客が訪れる。五台山の山上の緑豊かな境内には、室町末期に建立された本堂と江戸初期の大師堂、昭和期に再建された五重塔、江戸後期の書院がある。本堂と書院は重要文化財だ。また、書院を囲む庭園は鎌倉後期の作と伝えられ、国の名勝指定を受けている。

 この古刹に、堀部安嗣建築設計事務所(東京都新宿区)の設計による納骨堂が加わったのが2013年。納骨堂は日本建築学会賞(作品)を受賞した。さらに今回、老朽化などから、本坊と庫裏も同事務所の設計で建て替えられた。

 本坊・庫裏は境内の東端に位置し、本坊の南側には参拝者通路広場と納経所がある〔写真1〕。以前は本坊と位牌堂、庫裏や倉庫が、前面道路に背を向けるように立っていた。同事務所代表の堀部安嗣氏はそれらを一体に設計すると同時に、敷地の高低差を生かして位牌堂を地下に収め、広々とした通路広場を設けた〔写真2〕。以前は通路だけだった。

〔写真1〕重要文化財の書院の脇に通路広場と納経所
南東から見た外観。道を挟んで向かいに高知県立牧野植物園がある。手前の石垣は石を積み直し、奥の石垣は手前の石垣と景観を連続させるため、地下の掘削時に出た石を用いて新たに積んだ(写真:生田 将人)
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左から重要文化財の書院、参拝者通路広場、納経所。納経所は総合受付でもある(写真:生田 将人)
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〔写真2〕参拝者を迎える開放的な通路広場
参拝者通路広場を通って境内に至る動線は駐車場からのメインアプローチで、以前の動線を継承。新たに設けた広場は心地よい風が吹き抜ける(写真:生田 将人)
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