日本建築家協会(JIA)九州支部のサポートで設計者を選定した福岡県弁護士会館が2月に開館した。地元の織物柄をモチーフに、ステンレスやテキスタイルなどの素材を用いて、親しみやすい空間をつくった。

北東側から見た正面外観。スーツを着た弁護士のたたずまいに重ねてシャープな外観とした。8mほどキャンチレバーで持ち出した2階部分の外装をステンレスパネルが覆う。内部は大ホール。右手のガラス張りの部分がエントランス(写真:イクマサトシ)
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 約1300人の弁護士が所属する福岡県弁護士会の新しい事務所が完成し、2019年2月から業務を開始した。建物を印象付けるのは、前面に大きく張り出す2階部分を包むステンレスの外装だ。

 表面に浮かぶ縦じま模様は、伝統の絹織物「博多織」の献上柄をモチーフにしたもの。3種類の研磨方法を使い分けて仕上げた。離れて見ると縦じまだが、近寄るとしま模様の境界がぼやけ、研磨方法で異なる細かな柄が目立ってくる〔写真1〕。

〔写真1〕遠近で変わる見え方
外装のステンレスパネルは、伝統の博多織の特徴である縦じま模様をモチーフにしたもの。博多織の縦じま模様のように、遠目には縦じまだが、近寄ると細かな柄が見えてくるように仕上げてある(写真:イクマサトシ)
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 「思い描いた通りの弁護士会館ができて安心している。会員からも『斬新でいい』という声が寄せられている」。そう話すのは、同弁護士会で新会館取得推進本部長代行を務めてきた弁護士の古賀和孝氏だ。手狭で老朽化した旧会館の移転先の選定から建設までを取りまとめてきた。

 新しい福岡県弁護士会館は、福岡市の繁華街、天神から2.5㎞ほど南西の六本松地区に立つ。09年に移転した九州大学六本松キャンパスの跡地を再開発した一角だ。

 建物は鉄骨造の地上4階建てで、延べ面積は約4100m2。エントランスを入った1階は、事務室や、法律相談に対応する相談室などで構成〔写真2~5〕。2階以上には、ホールや会議室、談話室など会員の弁護士が利用する諸室が入る〔写真6~9〕。

〔写真2〕特殊な研磨技術でしま模様
エントランスわきの2層吹き抜けのアトリウム。外装と同じ研磨を施したステンレスパネルを内部にも用いている。特殊な研磨技術を考案して縦じま模様を描き出した(写真:イクマサトシ)
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〔写真3〕左官とロールスクリーンも縦じま
アトリウムの正面奥の左官壁と、電動ロールスクリーンも縦じま模様のデザイン。ガラスの開口沿いに並ぶ3つのボックスは個室タイプの相談室(写真:イクマサトシ)
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配置・1階平面図
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〔写真4〕ステンレスで照明負荷を低減
構造は鉄骨ブレース構造。1階執務室では開口部のブレース部分に家具を設けた。家具の上面にステンレス板を張り、外光を反射させて照明負荷を低減している(写真:イクマサトシ)
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〔写真5〕左官で柔らかに包んだ相談室
エントランスロビーに面した3つの相談室は、内外とも左官仕上げ。出隅・入り隅を丸味のある仕上げとして柔らかな印象を持たせた(写真:イクマサトシ)
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〔写真6〕大ホールは270人規模
正面外観に、持ち出し部分として現れている2階の大ホールは270人を収容する規模。空調は床吹き出し式。開口部のカーテンは、微妙に濃淡の違う3色のオーガンジーによるもの(写真:イクマサトシ)
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2階平面図
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〔写真7〕カーテンに穴を開けて柔らかさ
大ホールのカーテン。二重のオーガンジーの室内側に丸い穴を開け、柔らかな印象を持たせた(写真:イクマサトシ)
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4階平面図
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〔写真8〕ライブラリーは木質空間
会員の弁護士が利用するライブラリー(図書室・執務室)は、木質感のある直天井の空間。仕事に集中できるブース型の席も用意した(写真:イクマサトシ)
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〔写真9〕ラベンダー畑のある談話室
4階の談話室は弁護士の交流スペース。窓の外には、一面に植えたラベンダーに囲まれて、屋根付きのテラスがある(写真:イクマサトシ)
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