建物から奈良の歴史や文化、自然を感じてもらうことを意図したホテルだ。奈良の町家の空間構成を継承・発展させたプランの随所に、地域の材料や技術を活用している。

猿沢池越しに「セトレならまち」(写真右端)を見る。左隣は発注者が営む旅館、左端は興福寺五重塔。外壁の縦方向に用いた木材は吉野スギで、森林の木立をイメージして階差数列に基づき配置した(写真:生田 将人)
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南側の外観。勾配屋根には、淡路に古くから伝わるいぶし瓦を用いた。予算の関係で設計段階は金属屋根だったが、着工後、やはり周囲の景観に同調する屋根材にしたいと、金額を調整して瓦に変更した。中庭部分には、隣接する民家との間に心理的な境界を設けるため、吉野スギのさび丸太を立てている。塀で囲うと光が入らなくなるので丸太を立てた。北側の屋根の一角に設けたテラスでは、ソファに座って興福寺五重塔の眺めを楽しめる(写真:生田 将人)
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 猿沢池が眼前に広がり、興福寺は至近、東大寺や春日大社にも歩いて行ける。2018年12月に開業したホテル「セトレならまち」は、奈良観光の拠点として絶好の場所に立つ。

 発注者は明治元年創業の旅館を代々営み、この場所には以前、修学旅行生を主対象とした別館が立っていた。それを外部事業者が運営するホテルに建て替えることを決め、事業プロポーザルを実施。「セトレ」ブランドのホテルを展開するホロニック(長田一郎代表取締役、神戸市)と芦澤竜一建築設計事務所(大阪市)のチームが選ばれた。同事務所は過去にも「セトレマリーナびわ湖」(2013年)などを設計している。

 発注者は「この先の100年を想定したホテル」を求めた。芦澤竜一主宰は「奈良の歴史や文化を継承し、現代において発展させ、建物の見せ方やつくり方を考えた」と話す。

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