被災した公共施設の跡地に複合施設が開館した。元の市民交流などの機能に、図書館や公民館を加え、複数の機能を吹き抜けで融合した内部構成や外部テラスによって、街の活性化を目指す。

建物内ながら街を歩くような感覚が得られる「tette通り」。敷地の高低差に合わせて床は緩いスロープで、東から西に向かって低くなる。この通路は1m2当たり5円/時間の使用料で場所貸ししていて、イベントや展示を行うことが可能。3~4階に鉄骨トラスによる大断面構造の床をつくり、2階の床の張り出し部分は上から吊り、1階の通路に柱が落ちないようにした(写真:吉田 誠)
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 福島県須賀川市の中心市街地に、「須賀川市民交流センター tette(テッテ)」が2019年1月11日にオープンした。東日本大震災によって総合福祉センターが使用不能になり、その跡地に整備された複合施設だ。

 同センターがそれまで担っていた市民交流や子育て支援などの機能を継承しつつ、狭あい・老朽化していた図書館や公民館の機能をここに移して集約。にぎわい創出の機能も加え、市民文化の復興のシンボルとして、また、震災前からの課題だった中心市街地の活性化の中核施設としての役割を持たせた。

 人々が手を重ねるイメージから、床をずらしながら積層し、建物全体に様々なテラスを設けている〔写真1〕。人々の活動が街からじかに見えることを意図したものだ。内部は、ずれながら連続する吹き抜けを介し、空間がつながる〔写真2〕。人々が思い思いに過ごすテラスは、非常時の避難場所・通路でもある〔写真3〕。

〔写真1〕活動が見えるテラス
敷地の東側は、JR須賀川駅から続く表通りに接する。以前の総合福祉センターは閉店したデパートの建物を利用していた。人々の活動やにぎわいがガラス越しではなく街から直接見えるように、床をずらしながら積層し、テラスをたくさん設けた。茶色の引き戸はサンルーム(写真:吉田 誠)
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〔写真2〕吹き抜けを介して他の階に視線が広がる
3階のメインライブラリーは一部に吹き抜けがあり、他の階にいる人の様子が目に入ったり、活動の気配が伝わったりする。左手はサンルーム。サンルームとテラス、1階では飲食が可能。図書館も飲み物の持ち込みを許可している(写真:吉田 誠)
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〔写真3〕テラスは人々の居場所にも避難通路にも
3階のメインライブラリーの南側に隣接するテラス。意匠と防災避難の両方の理由から、テラスには外階段を複数設置。2階より上はテラスと外階段がすべてつながっていて、非常時はこれらを利用して地上まで避難できる(写真:吉田 誠)
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