2019年10月に予定されている消費増税。税率を8%から10%に引き上げる。過去には増税前に「駆け込み需要」が発生するのが常だったが、今回はほとんど顕在化していない。なぜ駆け込み需要は消えたのか。(日経アーキテクチュア)

 過去の消費増税は、1989年の導入時を除くと、民間投資の冷え込みと公共事業削減で建設市場が縮小を始めた97年4月、市場が回復基調にあった2014年4月の2回。好不況に関係なく、いずれも増税を境に建築需要(全建築物の着工床面積)の1割前後の「駆け込み需要」と「反動減」が生じた〔図1〕。

〔図1〕過去2回の消費増税では駆け込み需要と反動減が発生
過去の増税では1割前後の需要増と反動減が生じた(資料:実績値は国土交通省の建築着工統計、予測値はSFC)
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 では、今回はどうだろう。まずは駆け込み需要について考察する。

 増税を予定している19年10月の、3カ月前までの9カ月間(18年10月~19年6月)で見ると、建築需要は前年同期比マイナス0.15%。需要増どころか、逆に落ち込んでいる。

 14年の消費増税以降、2度の増税延期で需要の「先食い」が生じたことが、今回、駆け込み需要が顕在化しなかった一因と考えられる。

 また、人口減少や少子高齢化に伴う住宅需要の減少、14年から続く建設費の高止まり、米中貿易摩擦を背景とした経済環境の変化による企業の投資意欲の減退など、消費増税以外の要素の影響が、建築需要に色濃く表れたと言えそうだ。

 非住宅需要を用途別に見ると、19年上半期は事務所が前年同期比13.3%減、工場が同10.6%減。18年まで右肩上がりだった倉庫や宿泊施設さえも、前年同期比でそれぞれ4.7%、25%の減少に転じている。

 こうした状況から、消費増税前の1年間(18年10月~19年9月)の建築需要は前年同期比でマイナス1.8%程度になると予想している(図1の右から2番目の棒グラフ)。

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