世界的建築家が設計した建物の改修を巡り、思わぬ対立が発生している。愛媛県は6月10日、愛媛県県民文化会館の改修設計に不備があったとして、設計者の内藤建築事務所(京都市)に対し、入札参加資格を1年間停止する処分を下した。今後、約1000万円の損害賠償を請求する方針だ。一方、内藤建築事務所は「全く納得できない」として、7月9日に県の資格停止処分に対する不服申し立ての審査請求書を提出した。

 愛媛県県民文化会館は丹下健三の設計で、1986年に完成した〔写真1〕。県は老朽化に伴いホールの座席や照明などの改修を計画。17年7月に内藤建築事務所が約5000万円で改修設計業務を受託し、18年3月に設計図書を納品した。

〔写真1〕メインホール客席照明の改修設計に不備
愛媛県県民文化会館の外観。丹下健三の設計で、1986年4月に開館した。築30年が経過し、老朽化が進んだことから、大規模改修を実施することになった(写真:愛媛県文化振興財団)
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メインホールの内観。メインホール照明の改修設計を巡って、県と内藤建築事務所が対立している(写真:愛媛県文化振興財団)
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 県は19年1月に、ホール客席の照明改修関連工事の入札を公告した。建設会社が同年3月、納品された設計図書ではメインホールの照明が正常に作動しないと指摘。それを受け、県は入札を中止した。設計を修正した上で、再入札を実施したため、県は着工時期を当初予定の19年3月から6月に延期した〔図1〕。

2017年7月 愛媛県が、県民文化会館の大規模改修に伴う実施設計業務を、内藤建築事務所(京都市)に委託
2018年3月 内藤建築事務所が設計図書を納品
2019年1月 ホール客席の照明改修関連工事の入札を公告
2019年4月 県が入札中止を発表。県の指示で内藤建築事務所が設計を修正
2019年5月 再入札を公告
2019年6月 施工者が決定。着工時期は当初の19年3月予定からずれ込む
県が内藤建築事務所に対し、1年間の入札参加資格停止処分
2020年3月 大規模改修が完成予定
〔図1〕1年間の入札参加資格停止に
愛媛県県民文化会館の改修を巡るトラブルの経緯(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

 県は、内藤建築事務所に委託していた監理業務の契約を解除。県土木部の職員が直営で監理業務に当たることにした。改修工事の完了は予定通り、20年1月を見込む。

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