建築確認から完了検査まで一気通貫でBIMを活用する道が見えてきた。日本建築センターなどが東京・六本木の建物で、完了検査に「MR(複合現実)」を導入。延焼ラインなどを現実と重ね、検査作業を効率化した。

 「法定検査でMR(複合現実)を導入した試みは恐らく国内で初。大規模な建築の現場に導入すれば、さらに効率化を図れるだろう」。そう語るのは、竹中工務店東京本店設計部設計4グループ長の花岡郁哉氏だ。

 MRとは、着用した専用のヘッドマウントディスプレー(HMD)に3次元のモデルを投影し、現実世界と仮想世界を融合化した映像をつくる技術だ。同社と日本建築センター(BCJ)は、任意の中間検査と法定の完了検査で、目視検査の補助としてBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とMRを活用した〔写真1〕。

〔写真1〕BIMモデルと重ねて現場を確認
竹中工務店が設計・施工を担当した「EQ House」の任意中間検査の様子。鉄骨架構を、検査員がヘッドマウントディスプレーに投影したBIMモデル越しにチェックしている(写真:竹中工務店)
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 対象とした建物は、メルセデス・ベンツ日本と竹中工務店が東京・六本木にオープンした展示施設「EQ House(イーキューハウス)」〔写真2〕。平屋建て、延べ面積約88m2で、構造は鉄骨造。設計・施工は竹中工務店が手掛け、3月に竣工した(3月28日号に関連記事)。

〔写真2〕デジタル設計を採用
「EQ House」の外観。2019年3月に公開した。設計にはコンピュテーショナル・デザインを採用した(写真:日経アーキテクチュア)
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 検査ではBCJの検査員と、受検者である竹中工務店の担当者がそれぞれHMDを装着。検査員はHMDに投影されたモデルと重ねて検査対象物をチェックし、手元のタブレット端末(ipad)を使ってモデルに指摘を書き込む。そのデータは共有クラウドサービスにアップした〔図1〕。「数十枚の紙の図面の情報が1つのモデルに集約されるので検査がスムーズに進んだ。図面に記載されない監理記録を同時にチェックできることも大きかった」と、BCJ確認検査部・省エネ審査部の杉安由香里主査は話す。

〔図1〕クラウドでBIMモデルを共有・保管
検査用BIMモデルはBCJが管理する共有サーバーに保管し、指摘や回答などは全員で共有した。検査後もモデルなどデータはクラウドに残っているが、法的に必要な図書は紙で保管した(資料:竹中工務店の資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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BCJの検査員と、竹中工務店の担当者が完了検査で現場をチェックしている様子(写真:竹中工務店)
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 MRを検査で使うメリットは、実際の建築物とモデルを重ねて見ることで、空間把握の確度が高まることだ。複雑な構造や、部材や機器が持つ機能、防火区画や延焼ラインなど現実に見えないものを視覚化できる。

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