大地震で建物の位置が基礎ごとずれた――。熊本地震や北海道胆振東部地震など、近年発生した大地震では、そんな被害例が見つかっている。高耐震化に伴う新たな問題について、実大振動実験による検証が行われた。

 振動台の上に2棟の総3階建て住宅が並ぶ。防災科学技術研究所(防災科研)・兵庫耐震工学研究センター(兵庫県三木市)の3次元振動実験施設(通称、E-ディフェンス)で2月1日に実施された公開実験の、加振直後の様子だ〔写真1〕。

〔写真1〕狭小間口の3階建て住宅を再現
加振後の試験体。右の試験体(A棟)は、すべり支承に復元力用ゴムや減衰ダンパーを組み合わせ、振幅を抑えながら振動周期を4.5秒に延ばした。左の試験体(B棟)は一般的な耐震構造で、人工地盤の上に載っている(写真:池谷 和浩)
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 実施主体は防災科研と名古屋大学。この実験は2017年度に始まった「首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト」(総括:平田直・東京大学地震研究所・地震予知研究センター長)の一環だ。

 2棟の試験体は立て込んだ都市部では一般的な、前面にカーポートを備えた総3階建て住宅を模している。どちらも間取りや形状は同じプランを採用しており、間口は4.5m、奥行き10m、最高高さは約10mだ。

 一見して小高い左側の試験体(B棟)が、住宅を表層地盤まで再現したものだ。土槽内に厚さ1.5mの人工地盤を構築、その上にベタ基礎を打設して上部構造を据え付けた。人工地盤は試験用に粒度をそろえた砂質土を締め固めてつくった。ベタ基礎はこの地盤の上に載っているだけで、振動台には直接固定されていない〔図1〕。

〔図1〕人工地盤の厚みは1.5m
B棟に用いられた土槽を含む試験装置の概要。人工地盤は締め固めた砂質土で、厚さは1.5m。ベタ基礎の立ち上がり部分の幅は16cmだ(資料:防災科学技術研究所)
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 B棟の上部構造は木造の枠組み壁工法で、耐震性は建築基準法の1.5倍とした。住宅性能表示制度における「耐震等級3」に相当する。戸建て住宅では近年、耐震等級3相当の性能を確保したものが増えており、今回の実験はそうした高耐震住宅が実際の敷地でどう挙動するかの検証が目的の1つとなった。

 なお右側の試験体(A棟)は、耐震性はほぼ同じだが、基部が異なる。上部構造に木造軸組み工法を採用。壁量などはB棟と同様に耐震等級3相当とした。基部には小規模建築物向けの免震装置を組み込んでいる。基部の違いにより地震の影響は大きく異なった。

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