うまく納めたように見える図面でも、ベテラン設計者からすれば、改善すべき点が見えることも多い。動線が入り乱れる玄関や家事動線の要となるキッチンに、見落としがちな死角があるという。

 「がっかり間取り」を防ぐには、図面を描く前の要望整理や建て主との意思疎通がまずは重要だ。とはいえ、最終的には図面に落とし込む必要がある。うまく納めたように見える図面でも、使い勝手の面で見落としがちな死角がある。

 設計事務所スマイリズム.(大阪府岸和田市)の堀野和人代表は、ハウスメーカーに勤務していたときに、設計室長として数多くの間取りをチェックしてきた〔写真1〕。今も、工務店から図面の確認を依頼されることが多い。そうした経験に基づく著書「図解間取りの処方箋」(学芸出版社)もある。

〔写真1〕図面確認の経験豊富
スマイリズム.の堀野和人代表。ゼネコン、ハウスメーカー設計室勤務を経て現職。著書に「図解住まいの寸法」「図解間取りの処方箋」(ともに学芸出版社)(写真:堀野 和人)
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 堀野代表に代表的ながっかり間取り(「×」と「△」)とその改善案(「○」)を挙げてもらった〔事例1~4〕。いずれも、間取り全てを変更するのではなく、外形を変えないよう部分的な変更にとどめた改善の例だ。改修でも参考にできるだろう。

 まずポイントは玄関。靴を脱ぐ、接客するといったように、「すべきこと」が多い。その一方、趣味のための空間として土間を設けるなど、最近では「したいこと」も増えている。トイレや2階などへの動線も入り乱れる。

 事例1の「×」は、そうした玄関での“がっかり例”だ。2例とも、そもそも玄関が狭すぎる。併設した土間収納は広いが、入り口に対して横方向に長く使いにくい。げた箱もないので、狭い玄関が靴であふれることになる。右の例は動線も混線している。

 「○」では、まず玄関を広くした。左の例は土間収納を大幅に縮小し、玄関は平面をL字形にしてホールの間口も広げた。右はアルコーブをなくして玄関の面積を確保し、リビング扉の位置を移動した。左右の例とも、ホールから使えるげた箱を加えた。

事例1:ホールから使えるげた箱がない
〔図1〕玄関が狭すぎる
「×」は、左右の例とも玄関が狭い。土間収納は広いが、横方向が長くて使いにくい。「○」の左例は、土間収納を縮小し、L字形の玄関にした。右は、アルコーブをやめて玄関の面積を確保(資料:堀野 和人)
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 事例2も玄関の例。「×」では、トイレの配置が一番の問題だ。トイレ扉がリビング扉と向かい合う配置は、プライバシーの面から避けたい。靴の収納量も不足。リビングに入ると見通せるキッチンは、家事動線の面で優れているが、来客の目には本来、触れさせたくない。

 「○」では、まずトイレの位置を階段下に移動。玄関の向きを変えて玄関土間の間口を広げ、土間収納を広くしてげた箱を設置した。押し入れの位置を変え、キッチンを見ずにリビングへ入れるようにした。

事例2:リビングと向かい合ったトイレ
〔図2〕トイレの位置が問題
「×」は、トイレの配置が問題。トイレ扉がリビング扉と向かい合う配置は避けたい。「○」は、トイレの位置を階段下に移動。玄関の向きを変えて玄関土間の間口を広げ、土間収納を広くしてげた箱も設置した。押し入れの位置を変え、キッチンを見ずにリビングへ入れるようにした(資料:堀野 和人)
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