使い勝手の悪い「がっかり間取り」でも、クレームに至ることは少なく、顕在化しにくい。最近では、「収納」や「庭やバルコニー」で失敗したという建て主が多くなっているという。

 建て主の要望を踏まえてつくった住宅でも、実際に住むと不満に感じる「がっかり間取り」は少なくない。構造や温熱環境など性能面の不満と異なり、クレームに至ることは少ないが、建て主は日々、使い勝手に不便さを感じることになる。

 そうした間取りの失敗について、リクルート住まいカンパニーが発行する季刊の住宅情報誌「SUUMO注文住宅」では、数年おきに、注文住宅の建て主にアンケート調査を実施。2019年7月実施の最新の結果を2019秋冬号で紹介している〔図1~3〕。

〔図1〕使い勝手の不満が上位に
間取りの失敗ランキング
  • 1位.収納(79ポイント)
  •  「スペースが足りない」「場所がイマイチ」「扉がジャマ」
  • 2位.部屋の広さ(74ポイント)
  •  「ケチって狭くしすぎた」「思ったより広い・狭い」「バランスが悪すぎた」
  • 3位.庭やバルコニー(72ポイント)
  •  「広すぎて大変」「洗濯物が干せない」「使える庭が欲しかった」
  • 4位.明るさ(50ポイント)
  •  「光が入らず暗い」「照明計画が甘かった」「日差しが遮られる」
  • 5位.動線(46ポイント)
  •  「家事がはかどらない」「遠くて不便」
  • 6位.家の形(44ポイント)
  •  「家具のベストな位置が分からない」「天井高の確認不足」
  • 7位.音(36ポイント)
  •  「想定外の音が気になる」「外の音がうるさい」
  • 8位.風通し(35ポイント)
  •  「窓はあるのに風が通らない」「隣家が近すぎる」
  • 9位.視線(27ポイント)
  •  「外から見られている気がする」「想定外の見える・見えない」
  • 10位.温度(18ポイント)
  •  「吹き抜けで室温にムラが」「快適な温度にならない」

「SUUMO注文住宅」が調べた間取りの失敗ランキング。3年以内に注文住宅を建てた全国の男女300人へのアンケート調査。有効回答数300、2019年7月実施。調査協力は楽天インサイト。失敗したと思う間取り(複数回答)について、全て1ポイントで集計(資料:「SUUMO注文住宅」2019秋冬号)
〔図2〕収納や家事関連の項目を評価
住んで良かった「間取図」ランキング
  • 1位.対面式キッチン(192ポイント)
  • 2位.オープンなLDK(178ポイント)
  • 3位.ウオークインクローゼット(117ポイント)
  • 4位.畳コーナー(114ポイント)
  • 5位.室内干しスペース(89ポイント)
  • 6位.パントリー(74ポイント)
  • 7位.吹き抜け(70ポイント)
  • 8位.階段下収納(69ポイント)
  • 9位.シューズインクローゼット(68ポイント)
  • 10位.ウッドデッキ(58ポイント)

「SUUMO注文住宅」が調べた、住んで良かった「間取図」ランキング。3年以内に注文住宅を建てた全国の男女300人へのアンケート調査。有効回答数300、2018年2月実施。調査協力はクロス・マーケティング。取り入れて良かった間取り上位3つについて、1位3ポイント、2位2ポイント、3位1ポイントで集計(資料:「SUUMO注文住宅」2018夏号)
〔図3〕子どもが生まれたタイミングで新築
家づくりを考えたきっかけを複数回答で尋ねたもの。今後2年以内に戸建て(新築・建て替え注文住宅)の建築を検討している全国の男女へのアンケート調査。2018年検討者は18年10月、17年は17年9月、16年は16年9月にそれぞれ実施。調査実施機関はマクロミル。18年検討者で11位以下の設問は省略した(資料:リクルート住まいカンパニー)
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 建て主から不満の声が最も集まったのは、「収納」だ。SUUMO注文住宅の中谷明日香編集長〔写真1〕は、「収納は最近、失敗したと答える割合が増えてきた。背景には、家を建てるタイミングが変わってきたことがあるのではないか」と推測する。

〔写真1〕共働きで癒やし要望
リクルート住まいカンパニーの中谷明日香・経営企画室マガジンビジネス推進部長兼「SUUMO注文住宅」編集長。「共働きは癒やしの空間を要望する」と話す(写真:日経ホームビルダー)
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 家づくりのきっかけを尋ねた調査では、「子どもが誕生した」が「子どもが成長した」を逆転〔図3〕。子どもの誕生に合わせた新築が増えてきた。「ヒアリング調査でも、保育園に入る前の生まれた段階で住む場所を決めたいという声が目立った」(中谷編集長)

 子どもは、成長とともに所有物がどんどん増える。将来的な物の増加を建て主が想像するのは難しい。そのため、新築時には十分な量を確保していたはずの収納が、数年後には不足するのだと推測できる。

 収納では、「量」への不満だけでなく、「位置」への不満もある。例えば、キッチンに隣接したパントリーなど、使う場所の近くに収納をつくるべきだったという失敗。共働き家族に代表されるように、時短を意識する建て主がより増えたことが要因だろう。

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