新潟市の工務店、オーガニックスタジオ新潟は、これまで床下をチャンバーとして活用する「床下エアコン」に取り組んできたが、昨年その応用である「階間エアコン」を長岡市の住宅I邸で採用した〔写真1図1〕。

〔写真1〕階間にエアコンを半分埋め込む
2階の納戸に設置した壁掛けエアコン。エアコン下部を床に埋め込むように設置し、冷気・暖気を階間に吹き込む
[画像のクリックで拡大表示]
維持管理を考えてエアコンカバーは外して設置。フィルターに掃除機を直接掛けられる
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:日経ホームビルダー)
〔図1〕階間エアコンの断面納まり図
階間エアコンの設置方法を示す断面図。吹き出し口近くで冷気が木部に当たると結露する可能性があるので、吹き出し口の角度には注意を要する。階間を囲む胴差しに発泡系断熱材を張ると結露防止に有効だ(資料:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]

 2階の床下に半分埋め込むように設置した壁掛けエアコンの冷気・暖気を階間に吹き込んで1・2階の冷暖房を同時に行う仕組みだ。室蘭工業大学名誉教授で、新木造住宅技術研究協議会の代表理事を務める鎌田紀彦氏が発案した。

 暖房の仕組みは以下の通り〔図23〕。まず階間にエアコンの暖気を吹き込む。暖気は2階床に設けたガラリを通じて自然対流で2階の室内を循環する。1階天井には「ブースターファン」と呼ばれる直流で省電力の小型ファンと、ガラリを設置〔写真2〕。そのファンで階間の暖気を押し出して1階を暖める。冷房時はその反対だ。1階には天井に設けたガラリから自然に冷気が降下し、2階にはブースターファンで冷気を引き上げる。

〔図2〕夏冬の全館空調の仕組み
夏季の冷房の仕組みは下記の通り。(1)階間にエアコンの冷気を流す、(2)2階床のガラリとブースターファンで階間の冷気を2階居室に取り込む、(3)1階天井のガラリから冷気が1階居室へ自然に降下する
[画像のクリックで拡大表示]
冬季の暖房の仕組みは下記の通り。(1)階間に暖気を流す、(2)2階床のガラリから自然対流で暖気が2階居室に循環する、(3)1階居室には天井のガラリとブースターファンで暖気を送り込む
[画像のクリックで拡大表示]
(資料:日経ホームビルダー)
〔図3〕ブースターファンを5台設置
1、2階の平面図にブースターファンと自然ガラリ、温湿度計の設置箇所を記載した。ブースターファンは夏に2階に吹き出すための2台と、冬に1階に吹き出すための3台の計5台を設置している(資料:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真2〕ファンで冷気を2階に
直流の省電力小型ファン。30~120m3/hの能力を持ち「ブースターファン」と呼ばれる。多少運転音がするので位置を工夫する。冷房時は階間の冷気を2階居室に引き上げるのに使用。材料費はファン5台とコントローラー2台で8万円程度
[画像のクリックで拡大表示]
自然対流を招き入れる2階床のガラリ
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:日経ホームビルダー)

 今回測定したI邸は定格冷房能力2.8kW(8畳用)のエアコンを採用し、1階に3個、2階に2個のブースターファンをそれぞれ設置している。

 階間エアコンのポイントはエアコン周囲の気密化だ。これにより階間の空間が圧力チャンバーとなり、エアコンのファンで冷気・暖気を押し込むと、2階床と1階天井面のガラリから確実に吹き出てくる。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経ホームビルダー」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら