異なる全館空調を採用した3軒の高断熱住宅でこの夏、日経ホームビルダーは温湿度とエネルギー消費量を測定した。3軒とも室温はほぼ制御できていたが、夏の快適湿度とされる60%以下は保てないことが分かった。

 2017年11月に埼玉県大宮市に竣工したKa邸は桧家住宅(東京都文京区)が設計・施工した木造2階建て住宅。ヒノキヤグループが開発した全館空調システム「Z(ぜっ)空調」を導入している。

 Z空調は、1・2階の天井裏に設置した合計2台のダイキン工業製のダクトエアコンと、基礎断熱の床下に置いた協立エアテック製の全熱交換型24時間換気設備を組み合わせている。

 床下から取り込んだ外気を熱交換してエアコンに送り、快適な温度・湿度に調整。給気ダクトを介して、要所に設けた吹き出し口(ディフューザー)から全館に供給する〔図1写真1〕。

〔図1〕冷気・暖気が循環
床下の給気口から全熱交換型換気設備、エアコンを経て、快適な空気が室内を循環する(資料:ヒノキヤグループ)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真1〕分岐は最大2回まで
ダイキン工業製のダクトエアコンを使用。給気ダクトは1台のエアコンから3本出せる。それぞれ途中で2回分岐できるので、最大6カ所に吹き出し口を設けられる
[画像のクリックで拡大表示]
吸い込み口
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:日経ホームビルダー)

 ヒノキヤグループでは、エアコンと給気ダクトの吹き出し口までの距離を極力、短くするように設計している。最長で15m以内だ。コストを抑え、エアコンの限られた能力をできるだけ生かしたいという狙いがあるからだ。

 ただ、ダクトが短いと、冷気・暖気が目的の場所まで届かないケースも出てくる。そこで、吹き出し口を数多く設けたり、冷気・暖気を屋内隅々まで飛ばす工夫を講じたりしている。

 例えば、ルーバーの付いた吹き出し口を壁や天井近くの位置に設け、冷気・暖気が壁や天井に沿って吹き出すようにした。冷気・暖気は面伝いに這うように流れて長い距離を移動する。ルーバーの角度を調整することで、季節や個人の好みにあった空気の流れをつくり出す〔写真2〕。

〔写真2〕室内の温度差を小さくする
吹き出し口にあるルーバーの方向を変えて冷気・暖気の方向を調整すれば、室内に満遍なく快適な空気を循環させることができる
[画像のクリックで拡大表示]
リビングを赤外線カメラで撮影すると、冷気が天井伝いに流れていることが分かる
[画像のクリックで拡大表示]
リビングを赤外線カメラで撮影すると、冷気が天井伝いに流れていることが分かる
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:日経ホームビルダー)

 この調整で、夏は頭上からの冷気で部屋を涼しくでき、冬は足元からくる冷えを防ぐことができる。

 ヒノキヤグループの荒木伸介マーケティング部長は、「Z空調は室内の上下層の温度差が小さいことが特徴。一般的な住宅では同じ室内で4℃以上が普通だが、Z空調ならおおむね2~3℃の範囲に収まる」と説明する。

 さらに、室内の暖気を床に設けたガラリから床下チャンバー経由で排気することで、床面が冷えにくくなる効果を生んでいる。

 「空調された部屋以外が暑かったり寒かったりすると、動くのが面倒になる。でも、この家は全体に空調の効果が及んでいるので、いつもポジティブでいられる」とKa夫妻は話す。

〔写真3〕省エネ基準を上回る
Ka邸の外観。断熱性能は省エネ基準よりワンランク高いUA値0.63W/m2Kとしている(写真:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。「日経ホームビルダー」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら