(イラスト:浅賀 行雄)
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今月の建て主

石森 太一氏(仮名)(56 歳、男性、千葉県)

  • 妻と子どもが3人
  • 自宅に愛着を持つ
  • 耐震性に関心あり
  • 住宅会社に不信感
  • 大ざっぱな性格
  • 趣味はジョギング

 石森氏の住まいは築30年の木造2階建て。2011年の東日本大震災で揺れにおびえる子どもたちの姿を見て、「家族を安心させるためにも、いずれ耐震補強をしなくては」と考えていた。震災から4年後の15年、資金を貯めた石森氏は一級建築士に耐震診断を依頼。「リビングが広いわりに壁量が不足している。壁の一部を耐震面材に替えたほうがよい」と助言された。

 そこでリフォーム会社に依頼して、リビングの周囲の壁に耐震面材を施工することにした。ところが既存の壁を剥がしてみると、壁内に大量の木材の切れ端が詰め込まれていた。驚いた石森氏はいったん補強工事を中止し、30年前に新築を手がけた住宅会社に電話した。「これは、一体どういうことか。理由を教えてほしい」

耐震補強の際、既存の壁の仕上げ材を撤去したところ、壁内には大量の木材の切れ端が見つかった(写真:石森氏)
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 応対したのは、石森邸を建てたときの社長の息子である2代目。数年前に代替わりし、2代目は修業先の住宅会社から自社に戻ったばかりだという。「先代の頃の仕事の内容は私には分からない。当時の営業担当者も既に退社してしまった」

 電話でこのような返事をもらった石森氏は他人事のような物言いに絶句した。それ以上、責任を追及する気力が萎えてしまった。

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