配管の施工不良は日常の生活に支障を来すので、建て主とのトラブルになりやすい。特に多い不備は排水管の逆勾配と配管の未固定。職人任せにせず、確実にチェックしたい。(日経ホームビルダー)

 築40年の自宅を二世帯住宅にするため、A氏はリフォーム会社に工事を依頼した。完成直前、施工不良が気になり、床下などの見えない箇所を自分で点検。洗濯用の排水管が目視で分かるくらい逆勾配になっているのを発見した〔写真1〕。

〔写真1〕リフォーム工事で新設した洗濯用の排水管が逆勾配になっていた例。1000分の78と、建て主が目視で分かるくらいの施工不備だった。本来は、破線の矢印で示した方向に勾配を取る(写真:カノム)
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 この他にも、A氏はリフォーム会社に対して幾つも不具合を指摘。その数は合計で200項目超にも上った。リフォーム会社はA氏の指摘に応じず、工事が完成したと主張。工事代金の支払いを拒んだA氏に、工事代金請求の訴えを起こしてきた。

 A氏が最初に気付いた排水管の逆勾配は、リフォームに限らず新築の現場でも、私がよく指摘する施工ミスだ〔写真2〕。

〔写真2〕新築でも逆勾配は多い
住宅の新築現場で排水管が完全に逆勾配になっていた例。左はキッチン用の排水管が、右は食器洗浄機用の排水管が、それぞれ逆勾配になっていた。食洗機用の排水管は逆勾配となっていることが多い(写真:カノム)
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 特にミスが多い箇所は、床下での作業となる設備機器との接続部付近。床下で狭く作業性が悪いので不備が出やすい。そのうえ、職人が作業中に不備に気づいても、「床下だから見つからない」「多少逆勾配でも水は流れる」と考え、不備を放置してしまうことが、しばしばあるとみられる。

 設備施工を解説したネット情報が増えたこともあり、建て主自身が配管などの施工不備を見つけるケースは増えている。一方で、建築に携わる者にとっては、設備の設置仕様などの注意点を知る機会が少なくなったとも感じる。

 というのも、住宅金融支援機構の「木造住宅工事仕様書」では、平成24年(2012年)版から設備工事に関する記載が大幅に省略されたからだ。詳細について、仕様書ではなく、別の資料を参照する体裁となった。

 具体的に言うと、同仕様書では現在、給排水設備の設計・施工についての記載は、以下のように簡素なものだ。

 「給排水設備の施工に当たっては、『空気調和・衛生設備工事標準仕様書』(空気調和・衛生工学会規格 SHASE−S 010)、『給排水衛生設備規準・同解説』(空気調和・衛生工学会規格 SHASE−S 206)および『給排水設備技術基準・同解説2006年版』(一般財団法人日本建築センター)を参照すること」

最小勾配は管径で決まる

 参照すべき3つの基準類には、給排水設備の仕様について多くの記載がある。しかし、全てを記憶する必要はなく、最低限、住宅の現場に関係する基準を覚えておけばよい。ここでは、特に不備が生じやすい「配管勾配」と「管の固定」の基準を紹介する。

 まず、配管勾配についての基準は、「給排水衛生設備規準・同解説」に記載がある〔図1〕。排水横菅では、管径に応じて最小勾配が決まっている。住宅では、管径50~100mmのものを使うことが多いので、管径が「65以下」と「75、100」の2通りを覚えておけばよい。

〔図1〕管径50mmならば勾配は50分の1以上
配管勾配の基準。住宅では管径50~100mmを使うことが多いので、管径が「65以下」と「75、100」の2通りを覚えておく(資料:「給排水衛生設備規準・同解説」)
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 実際の検査では、逆勾配までなっていなくても、基準の勾配を確保できていないケースもよく見かける。「配管ルートが長い」「基礎のスリーブ位置が悪い」「他の配管と相互干渉している」など、不備の理由は様々だ。

 設備工事だからといって専門工事会社に任せきりにしないで、元請けの施工者も不備を生じさせないよう工夫すべきだ。例えば、図面上で配管をあらかじめ指示しておいたり、社内検査のチェック項目に屋内外の配管勾配を入れておいたり、といった配慮をしたい。

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