小屋裏の湿気を逃がす重要な役目を担う換気部材の致命的な施工ミスが後を絶たない。図面に記載されている開口の未施工や、機能を発揮できない雑な施工が多いのだ。(日経ホームビルダー)

 細部まできちんと施工できていない住宅会社は、大きな施工ミスを起こしているのではないか――。こんな建て主の不安がきっかけとなり、瑕疵が見つかる例は少なくない。

 写真1は、まさにその1例だ。図面には棟換気が記載されていたものの、小屋裏から確認すると棟換気のための開口が見当たらない。棟換気が正しく施工されていなかったのだ。

〔写真1〕棟換気の取り付けが図面に記載されていたにもかかわらず、開口が確保できていなかった小屋裏。野地板の隙間から黒いルーフィング材が見えている(写真:カノム)
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 建て主のA氏が筆者に住宅検査を依頼してきたのは、完成後すぐのことだった。A氏によると、建設中から小さな施工不備が数多くあったという。ダウンライトの取り付け位置がずれていたり、クロスが切れていたり、建具の取り付けに不具合があったりしたために不安は募り、最終的には構造の不備を疑うようになった。そして、棟換気の不備の発見に至り、是正工事となった。

 小屋裏から棟部を見上げると、野地板の取り合い部に1cm程度の隙間が見えた。写真1において赤い線で囲んだ範囲の中央に見える黒い隙間の部分だ。だが、この隙間は野地板の施工時に生じたもの。棟換気のために開けたものではない。そもそも野地板やルーフィング材を切り欠いた跡がなく、隙間の幅も狭い。

 仮にこの部分のルーフィング材を切り欠いてあり、外の光が見えていたとしても、棟換気用の開口部とみなすのは難しい。換気量を確保するためには、棟換気部材のメーカーが施工マニュアルなどで指定したそれなりの開口サイズが必要だからだ。

 例えば、部材メーカーのトーコーが販売する棟換気部材「S型換気棟」の場合は、幅60mmの開口を棟部に確保するよう施工仕様書で示している〔図1〕。

〔図1〕空気が抜ける開口を確保
棟換気部材を施工する場合、棟部の野地板とルーフィング材を切り欠いて開口部を確保する。トーコーの参考図では開口幅は60mmだった(資料:トーコー)
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 棟換気用の開口が確保されていなければ、小屋裏の空気は室外に排出できない。小屋裏に湿気がたまり、結露に発展する。大工や現場監督が棟換気の納まりを正しく理解していない事例は珍しくない。確認が不十分なまま工事を進めてしまうケースもあるので注意したい。

 特に最近の傾向として注意したいのが、長期優良住宅での施工不備だ。近年、長期優良住宅の劣化対策の基準をクリアするために、設計者が棟換気を選択するケースが増えている。暖かい空気は上へ移動する。屋根の一番高い位置にある棟換気は、軒部での換気に比べて効率がよい。

 しかし、棟換気部の開口を施工していないと換気量が不足する。その結果、劣化対策における小屋裏換気の基準などの規定を満たせなくなる恐れがある。

 棟換気の是正では、換気部材を外してルーフィング材や合板を切り欠き、開口部を設けて対応する。ただし、足場がないと作業時に危険を伴う〔写真2〕。修理時の雨仕舞いなどが雑になるケースも多く、雨漏りを引き起こす恐れもある。

〔写真2〕棟換気の是正は屋根面から
棟換気部材の穴から小屋裏の空気を排出。開口部を施工していない場合、上部の換気部材を外し、野地板などを切り欠く。足場がないと危険だ(写真:カノム)
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