省エネ性能を売りにする住宅が増え、建て主の関心も高まっている。そんな高断熱住宅の施工において、意外な死角となっているのが浴室の床下だ。断熱・気密ミスは暖かくない家を生み出しかねない。(日経ホームビルダー)

 「室内が全然暖かくない」。木造2階建ての注文住宅を建てたA氏が家の省エネ性能に疑問を感じたのは、引き渡し後に初めて迎えた冬のことだった。

 家を建てる際に営業担当者から「長期優良住宅なので省エネ性能が高く、冬は暖かい」と聞いていたA氏。だが、いざ住んでみると、言われていたほど暖かさを感じない。むしろ、建て替え前に住んでいた古い家の方が暖かく感じた。「施工会社が手抜き工事をしたのではないか」と疑い始めたA氏は、調査を決断。筆者の所へ相談に訪れた。

 A氏の説明を聞いて、原因に思い当たる節があった筆者は、まずは1階にあるユニットバスの天井裏を調査することにした。浴室内の点検口を開けて天井裏をのぞき込むと、比較的強い風が顔に当たった。予想通りだ。壁内に外気が流れている。

 さらに、原因を見つけるために床下に潜った筆者は、この手のトラブルでありがちな光景を目にした。人通口がぽっかりと口を開けて、ユニットバス下部の空間とつながっていた〔写真1〕。

〔写真1〕1階に設置したユニットバス下部の空間を基礎断熱とし、他の区画を床断熱とする場合、点検時に人が通るための「人通口」を断熱材などで塞ぐ必要がある。断熱材で塞いだ後は、床下の外気が流れ込まないように、気密テープなどで気密を確保する(写真:カノム)
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 A氏の住宅の場合、ユニットバス下部の空間は基礎断熱の仕様で、室内側としての扱いだ。一方、脱衣室などがある室内側は床断熱の仕様で、床下は室外側の扱いとなっていた。にもかかわらず、人通口は開放されたままだった。

 これが原因だ。床下の冷たい外気がユニットバスの下を経由して壁内に侵入。家中の壁に冷たい空気が流れ込んで、室内の熱を奪っていたと考えられる。施工会社に不備を伝えて、人通口を塞ぐ修理を依頼した。その後、「寒さが和らいだ」とA氏から連絡があった。

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