老朽化した住宅の繊維系断熱材にしばしば見られる黒い変色──。この黒い変色の原因をこれまで多くの専門家や実務者はカビと考えてきた。

 ところが、「黒い変色の正体は、大気中の汚染物質や土壌成分を含む浮遊粒子状物質(SPM)が主だった」とする調査結果が明らかになった。調査はヒノキヤグループ(東京都千代田区)に委託された宮城学院女子大学の本間義規教授が実施し、報告書がこのほどまとまった。

 調査対象は、ヒノキヤグループが解体工事を手掛けた関東地方の5棟と、東北地方の1棟の木造住宅計6棟だ〔図1写真1〕。築年数は22~44年で、うち4棟は新省エネ基準の施行(1992年)前に完成した。壁の断熱材は、5棟が厚さ50mmの袋入りもしくはクラフト紙付き、1棟は厚さ90mmで袋入り。通気層と気流止めは、6棟とも未施工だった。

所在地 竣工年(調査時の築年数) 工法 壁の断熱材の種類、厚さ 外装材 床下の地盤
東京都 1973年(44年) 在来軸組み ロックウール、50mm モルタル 土壌(防湿シートなし)
宮城県 1980年(37年) 在来軸組み グラスウール10K、50mm モルタル 乾燥砂(防湿シートなし)
埼玉県 1988年(29年) 在来軸組み グラスウール10K、50mm 金属サイディング 土壌(防湿シートなし)
埼玉県 1986年(32年) 在来軸組み グラスウール10K、50mm モルタル 捨てコンクリート
千葉県 1995年(22年) 木質パネル グラスウール、90mm 乾式サイディング 土壌(防湿シートなし)
東京都 1994年(24年) 在来軸組み グラスウール、50mm ALCパネル 捨てコンクリート
図1〕壁の断熱材は厚さ50mmと90mm
断熱材に付着している黒い物質を調査した住宅6棟の概要。築年数は22~44年。壁の断熱材は厚さ50mmが5棟、90mmが1棟だった(資料:ヒノキヤグループの資料などを基に日経ホームビルダーが作成)
〔写真1〕断熱材の広範囲に黒い変色
2棟とも今回調査した住宅。築44年になる東京都内の住宅で、内装材を剥がした状態。黒い変色が断熱材全体に見られる(写真:ヒノキヤグループ)
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築29年の埼玉県内の住宅。窓下に設置されていたポリエチレン袋入りグラスウールの屋外側が、黒く変色している(写真:ヒノキヤグループ)
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