地中の廃棄物が地盤の柱状改良に影響を与え、住宅を傾かせる恐れがある─。地盤の専門家による最近の検証で、そんなリスクが改めて確認された。

 柱状改良の室内配合試験中に、セメント固化材と現場の土を練り混ぜて試験容器に入れたところ、15分後に試験体の膨張が始まり、1時間で17mm膨らんだのだ〔写真1〕。膨張した試験体の一軸圧縮強度を測ると、健全な試験体の3~4割だった〔図1〕。

〔写真1〕改良体が盛り上がる
左は深さ2.5~5mの土とセメント固化材を練り混ぜて試験容器に入れた直後の様子。右はこの試験体の1時間後の状態。試験容器の上部から17mm飛び出た所が膨らんだ部分だ(写真:WASC基礎地盤研究所)
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  一軸圧縮強度の3体平均(kN/m3
セメント固化剤の
種類と添加量
タイプA
(200kg/m3
タイプB
(200kg/m3
タイプA
(400kg/m3
タイプB
(400kg/m3
深さ2.5~5mの土の試験体
(膨張あり)
805 825 1330 1201
深さ6~7mの土の試験体
(膨張なし、健全な状態)
2793 2801 3764 3874
〔図1〕強度は3~4割に
試験体ごとの一軸圧縮強度の平均値を示す。タイプAはセメント固化材にトクヤマのハードキープP-530、タイプBは麻生セメントのソリッドエース200をそれぞれ使用した。膨張した試験体の強度は膨張しなかった健全な試験体の3~4割にとどまった(資料:WASC基礎地盤研究所の資料を基に日経 ⅹTECHが作成)

 柱状改良をこの配合で施工していたら、躯体などの施工中や引き渡し後に建物が持ち上がって、傾いた恐れがある。建築士の指示を受けた地盤補強工事会社が、室内配合試験をWASC基礎地盤研究所(大阪府茨木市)に依頼して、このリスクが判明した。

 建築予定地は沖積平野の川の近くに位置していた。そのため、一般的に固化しにくいといわれる有機物や腐植土が地盤に含まれている可能性があった。そこで建築士は、室内配合試験が必要だと考えた。

 試験は計8パターンで実施した。セメント固化材の種類と添加量を変えた4パターンに、深さ2.5~5mの箇所と深さ6~7mの箇所で採取した土を、それぞれ組み合わせた試験体で確認した。

 WASC基礎地盤研究所の高森洋代表は、「柱状改良が膨張する原因はセメント固化材にあるケースが多い。だが、今回は土が原因だと判断した」と話す。深さ2.5~5mの土はセメント固化材の種類と添加量を変えても全ての試験体が膨張し、深さ6~7mの土に混ぜた試験体はどれも膨張しなかったからだ。

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