地震のたびに、盛り土の崩壊や液状化といった地盤に起因する深刻な住宅被害が繰り返されている。そこで見直したいのは、新築時に通常実施している地盤調査のあり方だ。新築時の地盤調査に地震リスクの把握に必要な情報を盛り込み、住民に注意喚起することは、被害軽減につながると考えられる。

 新築時の地盤調査で把握しておきたい地震時のリスクで筆頭は盛り土だ。盛り土か否かは、国土地理院がウェブサイトで公開している過去の航空写真や土地条件図、自治体が作成した「大規模盛土造成地マップ」などで確認できる。最近は、通常の業務範囲でこうした情報も調べる地盤調査会社が増えている。

 住宅会社や不動産会社自身が過去の造成履歴を知った場合は、地盤調査会社に依頼する際、造成図を入手して伝えることが重要だ。小規模な造成工事は公開情報に載らない場合もあるからだ。

 盛り土の特徴の1つは、土質や支持層が不均質になりがちなこと。そのため、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)では、試験データが測点で異なっている地盤を盛り土と疑うケースもある。SWS試験は多くの測点を比較的容易に調査できるので、調査員の力量次第で不均質さを見つけられる。

 SWS試験に詳しい地域環境研究所(埼玉県川越市)の中村裕昭技師長は、「文献調査で想定した地盤の状態を現地で確認する道具がSWS試験。医者の聴診器だ。想定なしの決まりきったSWS試験では、盛り土を見逃してしまう」と注意を促す。

 地盤調査と地盤保証を手掛けるジャパンホームシールド(東京都墨田区)は、盛り土の推定方法としてSDS試験を勧める。「ロットに掛かるトルクを細かく記録できるので、不均質さが分かりやすくなる」と同社地盤技術研究所の内山雅紀所長は説明する。北海道胆振東部地震で大規模な液状化が発生した札幌市里塚地区では、同社が新築時に実施したSDS試験で盛り土と見抜き、支持杭で施工して軽微な被害に留まった事例が確認されている〔図1〕。

〔図1〕盛り土の不均質さを調べる
札幌市里塚地区にある宅地の地盤を盛り土と判定したSDS試験データ。トルクに乱れが多く、盛り土と推定した(資料:ジャパンホームシールド)
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ジャパンホームシールドが別の宅地で実施したSWS試験のデータ。注意喚起のために、推定土質欄に「盛土」と記載している(資料:ジャパンホームシールド)
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