IoT住宅(スマートホーム)を巡る勢力図は2019年以降、大きく変わりそうだ。パナソニックやLIXILは「住宅向けOS」となるプラットフォームの構築を狙う。顧客との関係を継続させるIoT住宅向けの建材・設備に、メーカー各社も注力し始めた。

 2017年末、Google(米グーグル)の「Google Home(グーグルホーム)」やAmazon.com(米アマゾン・ドット・コム)の「Amazon Echo(アマゾンエコー)」といったAI(人工知能)スピーカー、いわゆるスマートスピーカーの販売が日本で始まり、IoT住宅(スマートホーム)は急速に注目を集め始めた。

 そして18年、スマートスピーカーとの連携をうたい文句に、様々な企業がIoT住宅事業に名乗りを上げた。大手企業が連携した実証実験の他、複数企業が集うアライアンスや、早々にIoT住宅のサービスで実績を重ねる企業も登場した。

 だが、IoT住宅を巡る国内の覇権争いは1年では決着がつかなかった。多種多様なプレーヤーが参入し、混沌とした状態が続いている。

IoT住宅のOSを狙う

 国内での新築のIoT住宅市場で存在感が増した企業の1つが、パナソニックだ。同社の動向を見ると、IoT住宅の基盤を担うプラットフォーム事業に力を注ぐ姿が浮かび上がる。

 同社はこれまで、HEMS(ホムス)(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を核に、建材・設備との連携を図ってきた。「AiSEG2(アイセグツー)」はその代表製品。通信プロトコルに「ECHONET Lite(エコーネットライト)」を採用し、ドアや宅配ボックスにセンサーを付けて連携できるようにするなど対応製品を増やしてきた。

 これらの連携機器に加え、考え方をもう一歩進めたIoT住宅のシステム「HomeX(ホームエックス)」を18年10月に発表。スマートフォン(以下、スマホ)との連携が可能なシャッターや照明、テレビ、洗濯機といった機器の制御を可能にし、対応機器の幅を広げた。

 同社はHomeXを、パソコンやスマホなどのOSと同じように、IoT住宅を動かす「根幹システム」と位置付ける。

 HomeXは、ライセンス方式などを採用し、他社にも提供する方針。米グーグルがスマホ向けのOSを提供するのと同様に、住宅向けのOSを提供するビジネスモデルだ。実例として、パナソニック ホームズがHomeXを搭載した住宅「カサート アーバン」を18年11月に発表した〔写真1〕。

〔写真1〕IoTシステム標準搭載の住宅も
パナソニックの「HomeX」を標準搭載した住宅「カサート アーバン」のモデルハウス。パナソニック ホームズが販売する。左はパナソニック ホームズの松下龍二代表取締役社長、右はHomeXの開発を指揮するパナソニックの馬場渉ビジネスイノベーション本部長(写真:日経 xTECH)
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多様なサービスが普及の鍵

 住宅向けOSを実現するため、パナソニックでは、住宅内のあらゆるものをつなげる体制づくりにも注力している。19年1月に発表したスマートスピーカー「コエリモ」はその一例だ。赤外線リモコンの信号の送信機を組み込み、他の機器との連携機能がない旧式のテレビやエアコンなども制御できるようにした。

 連携はハード面にとどまらない。ソフト面でも、同社はスタートアップ企業を対象としたHomeXの活動プログラム「HomeX Cross-Value Studio」を開始。19年1月の第1回説明会には食関係のECサービスやホームセキュリティーなどを手掛ける13社が参加し、HomeXでの新たなサービスの実現を模索し始めた。

 かつ て、米グーグルのOSを搭載したスマホ端末が様々なメーカーから登場すると、多様なサービスの提供が一気に広がった。同じように、住宅業界でも急速にIoT住宅が当たり前になる可能性を秘めている。

 LIXILも、主に新築住宅を対象に独自のIoTプラットフォーム構築を狙う。18年3月に玄関ドアやシャッター、エアコンなどを連携させて操作できるシステム「Life Assist(ライフアシスト)」を発表〔写真2〕。建材・設備メーカーの立場だが、メーカーの垣根を越えて様々な機器を連携することができるプラットフォームを目指す。

〔写真2〕FCがモデルハウス
LIXILのIoTシステム「Life Assist」のデモンストレーションの様子。スマート スピーカーに向かって「おはよう」と話し掛けると、窓のシャッターが開き、エアコンが作動して照明が点灯した(写真:日経 xTECH)
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Life Assistを搭載したLIXIL住宅研究所の住宅ブランド「フィアスホーム」のモデルハウス。山形市内に建築した(写真:左はLIXIL住宅研究所)
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 アイフルホームやフィアスホームといった戸建て住宅のFC(フランチャイズチェーン)ブランドを持つLIXIL住宅研究所が、Life Assistを搭載した住宅のモデルハウスを次々とオープンするなど、顧客向けのアピールに注力している。

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