厳しくなる戸建て住宅の新築市場。工務店が視野に入れておきたい分野に中規模木造がある。一般流通材を使い、プレカットの在来工法で建てれば、これまでの事業の延 長線上で施工できる。JBNが開いたシンポジウムから、中規模木造のポイントを探る。

 延べ面積1000m2程度の中規模な木造建物であれば、地域に密着した中小の工務店(地域工務店)でも手掛けられる――。全国の地域工務店が集う全国工務店協会(JBN)は、工務店が取り組むべき次の一手として、中規模木造に着目。技術導入などを進めている。

 JBNの中大規模木造委員会が主催した「大工・工務店がつくる一番身近な中大規模木造建築シンポジウム」では、東京大学大学院の稲山正弘教授を招いて講演会を実施。他に、木造3階建ての事務所の事例を紹介しながら、設計と施工のポイントなどを説明した〔写真1〕。

〔写真1〕工務店の次の一手に中規模木造を提案
全国工務店協会(JBN)は3月13日に中規模木造に関する討論会を開催。木造の3階建て事務所ビルを例に議論した。左から東京大学大学院の稲山正弘教授、藤田木造構法計画の藤田譲代表、マルオカプレカット事業本部の南部智隆執行役員、JBN中大規模木造委員会の副委員長で大野建設の大野哲矢常務(写真:守山 久子)
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 ここでは、同シンポジウムの内容を基に、工務店が中規模木造を手掛ける際の設計のポイントや準備すべき項目などを紹介する。

 工務店が中規模木造に取り組むメリットは何か。稲山教授は「一般に流通る製材を使い、プレカットを活用した在来工法で建設すれば中大規模木造でも安価に建設できる。大きな手間もかからない」と指摘。JBN中大規模木造委員会の副委員長で大野建設(埼玉県行田市)の常務である大野哲矢氏は、「いくつかある」と続けた。要点を「ポイント1」にまとめた。

ポイント1
工務店にとって中規模木造は狙い目
  • 低層の非住宅で木造の占める比率はいまだ小さく、潜在的な市場がある
  • 高齢者施設、保育園、医療施設などは「木の建物」との相性が良い
  • 300~1000m2程度の中規模建築物なら住宅と同じ技術で施工が可能
  • 「一般流通材」と「プレカットの在来工法」で低コスト化と手間の削減を図る

 例えば、中規模木造に対する潜在需要の大きさだ〔図1〕。

〔図1〕低層の非住宅で木造の広がる余地は大きい
3階以下の場合、住宅では木造が81%を占めるのに対して、非住宅では14%にとどまる。非住宅での木造の潜在的な市場は大きい(資料:国土交通省「建築着工統計調査 2018年」と討論会の内容を基に日経ホームビルダーが作成)
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 3階建て以下の建物の着工面積を見ると、住宅では木造が8割以上を占める。ところが非住宅建築物では木造の比率は14%に過ぎず、シェアを広げられる余地がある。

 新築住宅の着工戸数が減少し、市場が縮小していくと指摘されるなか、非住宅の市場は、木造を手掛ける工務店にとって貴重な分野といえる。なかでも高齢者施設や保育園、医療施設などは、温かな肌触りを持つ木の空間との相性が良い。

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