MaaS(移動サービス)に出遅れたトヨタ。「B2C」として自らMaaSを提供するのではなく、MaaS運営者に自動運転車とその利用基盤を提供する「B2B」に活路を見い出す。主要MaaS運営者の筆頭株主であるソフトバンクと提携し、将来の顧客に近づく。“水と油”といえる2社だが、打倒グーグル系企業の共通目標では手を取り合える。

 MaaSは自ら手掛けない―。

 トヨタ自動車の技術幹部が明かすMaaSの基本戦略である。あきらめに近い苦渋の選択に思えるが、「MaaSに出遅れた」と評する声が漏れる現状を巻き返す一手を模索した結果だ。

 目指すのは、MaaSを提供するサービス事業者に、コネクテッドカーや自動運転車、その管理基盤を提供する「プラットフォーマー」になることと決めた(図1)。サービス開発が苦手なトヨタの弱みを認めた上で、新時代で稼ぐ仕組みを急いで作る。最大のライバルは、自動運転プラットフォームで先行する米グーグル親会社のアルファベット(Alphabet)だ。

図1 トヨタはMaaS運営者に自動運転基盤を提供
顧客にモビリティーサービスを直接提供するB2Cの担い手はMaaS運営者。トヨタは、MaaS運営者に自動運転基盤を提供するB2Bを主軸にする考え。写真はトヨタ社長の豊田章男氏。(写真:トヨタ)
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 巻き返しを図るため、約30兆円を売り上げる世界有数の企業という体面をかなぐり捨てる。2018年10月、トヨタ社長の豊田章男氏が「相性が悪いと言われてきた」と認めるソフトバンクと新会社を設立すると発表した。安全と品質を何より重んじるトヨタと、“大きくリスクを取って攻める”のが信条のソフトバンクは“水と油”である。

 しかも「提携発表前に、びんたをくらったようなもの」(トヨタ関係者)。発表前日、トヨタと自動運転開発で競合し、ソフトバンクが約2250億円を出資する米GM傘下のGMクルーズ(GM Cruise)に、トヨタの宿敵であるホンダが出資すると発表したからだ。

 「ソフトバンクの手の平の上で、トヨタとホンダ、GMが競うのと同じ」(同関係者)と自嘲する声すらある。ソフトバンクにとっては、わずか2日間で日本を代表するトヨタとホンダを自らの「群戦略」(ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏)の一員に加えた形だ。

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