ダイハツ工業の軽自動車「ミライース」。軽自動車の燃費競争の象徴とも言える車種だ。2011年の初代発売時には燃費30.0km/Lを達成し、環境対応車として市場に認知された(図1)。2代目の開発責任者に指名された南出洋志は、苦悩の末、競合との燃費競争に終止符を打つことを決めた。新しいミライースは、安全・安心に大きくかじを切った。

図1 ダイハツ工業の軽自動車「ミライース」
2017年5月発売、価格は84万2000円から。同社軽乗用車の基本モデル。燃費競争が過熱する中、競合車に先駆けて自動ブレーキを採用した。(写真:ダイハツ工業)
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 スズキは2014年12月に発売した「アルト」で37.0km/Lと、軽自動車(ガソリン車)で最高の燃費性能を実現してきた。当時は、燃費競争が過熱していた時期で、ダイハツの初代ミライースを1.8km/L上回る低燃費で勝負をかけてきた。

 2代目ミライースは、開発当初から価格を据え置くと決めていた。軽自動車は、地方の人の足になっている。安易に価格は変えられない。

 アルトの実用化は横目で見ていた。2代目ミライースは燃費で勝負をかけるべきかどうか、ユーザーに確かめる必要があると考えた。

 2代目ミライースのチーフエンジニアに就任したのは2014年後半。2014~15年にかけて全国のユーザーの声を集めた。そこで分かったのは、カタログ燃費が1~2km/L改善されたとしても実燃費はたいして変わらないというユーザーの認識だ。初代ミライースは、部分改良を重ねて発売当初の30.0km/Lから35.2km/Lまで燃費性能を改善していた。それでも、ユーザーは数字に踊らされなくなってきているとの思いを強くした。

 燃費を改善すると背反があることもユーザーは気づいている。思い通りに走らなくなる、走りの質感も落ちやすくなる。

南出洋志( みなみで・ひろし)
1981年4月ダイハツ工業入社。実験部に配属後、運動性能、シャシーの先行開発、原価企画、「プロボックス」「サクシード」と幅広い部門で開発を担当。2014年12月より2代目「ミライース」のエグゼクティブ・チーフ・エンジニアに就任。
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