冨山道雄は2018年5月の部分改良まで一貫して、小型SUV(スポーツ多目的車)「CX-3」の開発責任者を務めている。小型車「デミオ」など過去の開発では、いくつかの失敗をして関係者に迷惑をかけた。その経験からCX-3の開発では、「最後までぶれないこと」を心掛けたという。従来のトップダウン型ではなく、調整型で開発メンバーの力を引き出す。

 冨山は小型SUV「CX-3」の主査に就く前に、小型車の「デミオ」と「ベリーサ」(2015年12月に販売終了)の主査を務めていた。そのときに、いくつかの失敗をしたと打ち明ける。

 新型車の開発では、非常に大きなリソース(ヒト・モノ・カネ)を動かします。その舵取りを誤ると、大きな損失を招いてしまいます。過去にデミオやベリーサの主査を務めていたときには、メンバーを混乱させる“失敗”をしてしまいました。

 具体的には、商品仕様の決定が遅れたり、途中で機能の採用を中止したりするなど、関係者に迷惑をかけました。社内から批判を受けて、落ち込むこともありました。

 その経験から冨山は、新型車の開発やその後の改良を成功させるポイントとして、「途中で“はしご”を外さないこと(最後までぶれないこと)」「後ろから撃たないこと(仲間を裏切らないこと)」の2点を挙げる。

 デミオとベリーサの主査をしていたある日、商品本部内の連絡会議が開かれました。そのときに、「明日付けの人事を説明します」という話がありました。「私は関係ない」と思っていたら、「CX-3の主査を担当してもらいます」と言われました(図1)。

図1 小型SUV「CX-3」
2015年2月に発売。価格は212万円から。これまでに4回の部分改良を行い、4回目の部分改良ではディーゼルエンジンの排気量を1.5Lから1.8Lに増やした。
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突然の主査就任

 突然のことで驚きましたが、デミオやベリーサの失敗を繰り返さないために、CX-3の開発ではぶれのないプロジェクト運営を行いました。また、プロジェクトチームを代表するものとして、「はしごは外さないこと」「後ろから撃たないこと」を心掛けました。

 開発責任者である主査は、担当プロジェクトの全責任を負う立場にあります。また、新型車の開発やその後の改良では、関係する多くのメンバーに支えてもらわないと業務を遂行できません。

 失敗や間違いをしようと思って取り組んでいるメンバーはいません。それでも不幸にも、ミスや問題が発生することはあります。そのときには、全社が一丸となってカバーする「ベクトル」を作り出すことが重要です。ミスや問題を解決して一歩でも先に早く進み出すことは、当社のような規模の小さな会社が競争力を維持する上で大切なことです。

冨山道雄(とみやま・みちお)
1986年3月マツダ入社。商品企画本部技術企画部技術戦略グループ、商品企画&ビジネス戦略本部技術企画部技術戦略グループマネージャー、同本部技術企画部長などを経て、2011年7月「デミオ」の主査(開発責任者)、2013年10月から「CX-3」の主査を務める。(写真:上内かなえ)
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