いまのチーフエンジニア(車両開発責任者)は良いクルマを作るため「何に悩み、どう突破してきたのか」─。編集部では、当事者に実際に経験した葛藤や苦悩を取材することで、新しいクルマ作りの課題を浮かび上がらせようと考えた。

 取材に応じたのは日系の主要メーカーの開発責任者7人。敏腕開発者たちの声から見えてきた“困難”は、市場変化への対応、協力者との信頼関係の構築、先代を超える新型車の開発という三つだ(図1)。いずれも答えの無いテーマで、開発責任者は与えられた状況や制約に応じた意思決定が求められる。

図1 “7人の勇士”が指摘する、開発責任者が問われる答えの無いテーマ
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 一つめの“市場変化への対応”は、顧客の声や規制動向などを指す。クルマの開発期間は3~5年と長い。プラットフォームの刷新も兼ねた車両開発では、さらに長期戦となる。関係者の数やコストも膨大になる。開発責任者は、当初想定していた方向性を、どこまで貫き、どう軌道修正していくべきか。意思決定が後手になるほど、開発の負荷は高まる。

 燃費競争が過剰になっていたときにダイハツ工業の軽自動車「ミライース」の開発責任者は、普通車で搭載が増え始めていた自動ブレーキに着目した(図2)。結果として、燃費性能を据え置いて、自動ブレーキの搭載を優先した。今では同車の8割以上が自動ブレーキ購入者となっている。

図2 各社の開発責任者の葛藤
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 トヨタの「カローラ」開発責任者は、欧州市場を中心にディーゼル車離れが始まるのをすばやく察知し、ディーゼルの搭載を断念した。迅速な意思決定は開発の重要な要素だ。

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