「電気自動車(EV)のフォーミュラ1(Formula 1、F1)」─。こう呼ばれているのが、EV版のフォーミュラカーレース「フォーミュラE(Formula E、FE)」である。2014年の開始当時は、参戦する自動車メーカーはインド・マヒンドラ&マヒンドラ(Mahindra&Mahindra)1社だけだったが、近年は名立たる自動車メーカーが続々と参戦、次世代のEV技術のノウハウ蓄積の場となってきている。

写真:編集部
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 2018年12月~19年7月開催のFE「シーズン5」(全13戦)─。Mahindraに加えて、ドイツ・アウディ(Audi)、同BMW、日産自動車、英ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover、JLR)グループ、モロッコ・ヴェンチュリー(Venturi)、フランス・グループPSA(Groupe PSA)と多くの有力自動車メーカーが参戦した(図1)。翌19~20年開催の「シーズン6」では、さらにドイツ・ダイムラー(Daimler)、同ポルシェ(Porsche)の参戦が予定されている。

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図1 香港で開催されたFEシーズン5第5戦の決勝レースの様子(2019年3月10日開催)
(a)スタート時、(b)1周目の直線での様子(第1コーナーと第2コーナーの間)。(写真:編集部)

 これほどの自動車メーカーをFEへの参戦に駆り立てるのは、次世代のEV技術のノウハウを蓄積できるからだ。実際、自動車メーカーだけでなく、自動車部品メーカーもFEへの参戦に積極的。その1つが、ドイツZFである注1)。同社は16年9月にVenturiと技術提携した。19年3月に中国・香港で開催されたシーズン5第5戦では、ZFが部品を供給する「ヴェンチュリー・フォーミュラEチーム(Venturi Formula E Team)」が見事、初優勝を勝ち取った。

注1)ZFがFEに挑戦するのは、次のようなメリットがあるからだ。(1)量産EV用の部品につながるノウハウを蓄積できる、(2)軽量素材を使うことで軽量化のノウハウを蓄積できる、(3)モーターをどう制御すべきかのノウハウが学べる、(4)パワートレーンに関する走行時の様々なデータが得られる、(5)社内の開発プロセスに対するノウハウが得られる─。例えば、(1)としては損失が小さいギアボックスや放熱性を高めた高性能な冷却システムに関するノウハウを蓄積できる。(4)では、どのような状況でパワートレーンが損傷を受けるかといったことなどを把握でき、量産EV用システムの最適化のノウハウを得られる。(5)では、高度な要求に対して精度の高い検証を行うための技術や開発プロセスのベストプラクティスを蓄積できるとする。

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