カルソニックカンセイが開発した板金製のタービンハウジング「CK-SMiTH(Calsonic Kansei - Sheet Metal innovative Turbine Housing)」の2回目。今回は、板金になり肉が薄くなることによって発生しそうな問題点について検証した。疲労、振動、騒音とも問題がないことを確認できた。

 カルソニックカンセイはターボチャージャーのタービンハウジングを従来の鋳物に代わって板金で造る技術を開発した(図1)。ターボチャージャーの出口温度は90秒早く温まり、150秒遅く冷める。

図1 板金製タービンハウジングを使ったターボチャージャー
カルソニックカンセイがタービンハウジングを開発した。
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課題を先回りして検討

 板金製にすることによって発生しそうな問題を検討した。熱と振動入力による疲労に耐えられるか、振動や騒音が大きくならないかという問題である。

 疲労には2種類ある。エンジンの運転・停止でターボチャージャーが加熱・冷却を繰り返すことによって変形して起こる低サイクル疲労と、周囲の部品から揺すられる振動によって起こる高サイクル疲労だ。

 板金製ハウジングは薄肉だから、鋳物製ハウジングより剛性が低くなることは避けられない。熱変形してハウジングがタービンと接触することは絶対に避けなければならない。タービン軸とタービンハウジングとの位置関係が変わると隙間も変わってしまう。隙間が大きいとタービンの効率が下がる。

低サイクル、高サイクルの疲労を解析

 疲労に関わる部位はターボチャージャーだけでなく、上流側の排気マニホールド、下流側のDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の3部品にまたがるため、それらを含めて評価する必要がある(図2)。3部品のセットを対象に低サイクル、高サイクルの疲労解析をした(図3)。

図2 評価モデルのイメージ
排気マニホールドから触媒コンバーターまで全体として評価する。
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図3 疲労の解析結果
(a)が低サイクル疲労、(b)が高サイクル疲労。いずれも実機の変形量と同等だ。
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 温度変化によるハウジングの変形は、入り口ガス温度を800~850度としてターボチャージャー出口の温度とハウジングの温度を測り、それを入力として解析した。タービン軸受部の変形量は、タービン軸の中心に対する径方向の変形量と、タービン取り付け基準面に対する軸方向の変形量で評価した(図4)。また、実機と同じ場所にプローブを当て、3次元計測器で測った。

図4 熱によって伸びる方向
径方向と軸方向の変形量を評価した。
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 解析で予測したタービン軸中心に対する径方向の変形量と、実機の変形量はほぼ一致した(図56)。タービン取り付け基準面に対する変形量の比較についても同様の結果であり、解析プログラムが高い精度で変形量を予測できている。今後、別の仕様を要求されても、これを生かして設計できる。

図5 径方向の熱変形
(a)が解析結果、(b)が実測値。
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図6 軸方向の熱変形
(a)が解析結果、(b)が実測値。
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