日産自動車は2019年7月、大幅な部分改良を施した新型セダン「スカイライン」を発表した。発表前から進化版の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」の搭載を予告していたが、同技術を搭載したのはハイブリッド車(HEV)モデルのみ。ガソリンエンジンモデル(ガソリンモデル)では、同技術の採用はオプションも含めて見送った。

 背景にあるのが、HEVモデルとガソリンモデルの方向性を明確に分けて開発するという大方針だ(図1)。具体的には、「HEVモデルは(同社の知能化・電動化・コネクテッド技術の総称である)『Nissan Intelligent Mobility』の象徴と位置付け、ガソリンモデルは走りの象徴として開発した」(同社)。

図1 大幅な部分改良を施した新型セダン「スカイライン」
写真はHEVモデル。価格は、HEVモデルが547万4520円から、ガソリンモデルが427万4640円から。(撮影:日経 xTECH)
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次世代プロパイロットを標準搭載

 両モデルの主な改良点は次の通りである。HEVモデルにおける最大の目玉は、前述のプロパイロット2.0の標準搭載である。高速道路上での、同一車線内の手放し(ハンズオフ)とナビゲーションに連動した車線変更や追い越しの支援を可能にした。高速道路限定だが、ナビゲーションに設定した目的地に向かうために車線変更が必要なときや、前方に遅い車両が存在するときに、システム側が車線変更するか否かを問いかけてきて、それに対して運転者が承認ボタンを押すと、システム側が自動でターンシグナルを点滅させて車線変更を実施する。

 その基盤となっているのが、高速道路の形状をcmレベルでデータ化した3次元(3D)地図(全ての車線の区分線の情報と速度標識、案内標識などの情報も持つ)である「3D高精度地図データ」。加えて、白線や標識、周辺の車両などを360度検知する「360度センシング」と、360度センシングで得られた周辺情報や車両システムの状況をリアルタイムに分かりやすく運転者に伝えたり運転者をカメラで監視したりする「インテリジェントインターフェース」の技術である(図2)。

図2 360度センシングに使うセンサー
AVMはアラウンド・ビュー・モニターの略称で360度カメラのこと。(出所:日産自動車)
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 さらに、HEVモデルでは、ステアリング・バイ・ワイヤ技術「DAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)」を専用にチューニングして、3D高精度地図データや予測制御を組み合わせることで、操舵のトレース性を高めている(図3)。3D高精度地図データを利用すると、車両の前方を監視しているカメラでは捉えきれない先の道路形状を把握できる。道路の曲率やこう配を先読みし、車速や操舵角を前倒しで制御することが可能になる。しかも、ステアリングシステムにDASを適用しているので、前倒しの制御を入れても運転者に違和感を与えにくい注)

図3 新型スカイラインに搭載しているステアリング・バイ・ワイヤ技術「DAS」
ステアリングホイール側と車輪を操舵するアクチュエーター側を物理的に切り離し、ステアリングホイールの回転角をセンサーで検知し、その情報に基づきアクチュエーターを制御する。(撮影:日経 xTECH)
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注)DASは、ステアリングホイール側と車輪を操舵するアクチュエーター側を物理的に切り離し、ステアリングホイールの回転角をセンサーで検知し、その情報に基づきアクチュエーターを制御するという操舵機構。路面の変化に伴って発生する振動や衝撃、車輪が操舵されるときの反力などがステアリングホイール側に伝わらないことから、運転者の操舵に先だって車両側が操舵を開始しても運転者に違和感を与えにくい。

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