カー・ナビゲーション・システム(カーナビ)メーカーの事業モデルの見直しが、これまで以上に喫緊の課題となっている。かつてカーナビが占有してきたセンターコンソールのポジションを、スマートフォンのアプリケーションを中心とした情報機器が奪い始めたからだ。カーナビの機能はもはやアプリの1つにすぎなくなった。

 スマホアプリを中心とした情報機器の進出は、これまでは海外の自動車メーカーにおける傾向にすぎなかった。だが、潮目が変わった。トヨタ自動車がついに舵(かじ)を切ったのだ。センターコンソールの位置に、スマホのアプリを表示して操作できる情報機器を据え付ける(図1)。特に、トヨタは主力車種の新型「カローラ」で、スマホのアプリケーション操作が可能な「ディスプレーオーディオ」を採用。純正カーナビの代わりに、LINEと共同で開発したアプリ「LINEカーナビ」を搭載した。

図1 トヨタ自動車が新型カローラに標準装備としたディスプレーオーディオ
トヨタ自動車は2019年9月に発売した新型カローラに、スマートフォンのアプリケーションを操作できる情報機器「ディスプレーオーディオ」を標準で装備した。(出所:トヨタ自動車)
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 アイシン・エィ・ダブリュも、事業モデルの見直しが急務となっている企業の1つだ。同社はカーナビ専用機器の開発へのこだわりを捨て、カーナビのソフトウエア技術を応用したアプリケーション事業へと軸足を移そうとしている。トヨタが採用したLINEカーナビは、アイシン・エィ・ダブリュも開発に参画したものだ。これまで同社が培ったカーナビ技術を生かした。

 だが、同社はカーナビアプリの開発にとどまらない。来る無人の自動運転車に対する事業展開を見据え、カーナビ技術を応用したクラウドサービス事業のモデル構築を模索する。その具体例として、同社は開発中の物流支援サービスのアピールに余念がない(図2)。

図2 アイシン・エィ・ダブリュが開発する物流支援サービス
車両データや端末データなどをクラウドで分析して提供する。(出所:アイシン精機)
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 同サービスでは単に地図情報から導き出したルートを示すだけではなく、トラックの走行情報をビッグデータとして活用。例えば、「精密機器のため振動などに注意が必要」といった積み荷の特性に最適化したルートを提案するといった機能を組み込むことで、競合他社の類似サービスとの差異化を図る。

 とは言え、カーナビのクラウドサービスは米グーグル(Google)やヤフーといった多くのIT企業が参入する激戦の市場だ。カーナビアプリや、物流支援サービスなどを開発する企業も少なくない。アイシン・エィ・ダブリュが生き残るためには、同社ならではの特徴を生かした事業展開が必要となる。同社は自社物流網を実験場として活用し、物流支援サービスの開発に力を注ぐ。

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