日産自動車が2019年9月に発売した新型セダン「スカイライン」で、車載Ethernetを採用したことが明らかになった()。日本の自動車メーカーとして、車載Ethernet注1)を本格的に採用したのは今回が初とみられる。

図 日産自動車が2019年9月に発売した新型セダン「スカイライン」
(撮影:日経 xTECH)
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注1)車載Ethernetは、自動車内のECU(電子制御ユニット)や電装品同士をつなぐ車載ネットワークの次世代技術。通信分野のEthernetをベースにリアルタイム性やフェイルセーフの確保など自動車で求められる機能に対応している。車載Ethernetは、従来の車載ネットワーク技術に比べて、データ伝送速度が高速、車載ネットワークを簡素化しやすい、IPベースでデータをやり取りできるのでクラウド側との連携がより容易になるといった利点がある。

 実は、日産が2017年10月に発売した電気自動車(EV)「リーフ」にも、車載Ethernet向け送受信ICが載っていた。具体的には、周辺監視用カメラのECUに、米Broadcom(ブロードコム)の車載Ethernet向け送受信IC「BCM89810」が実装されていた。そこで筆者は同ICの役割を、周辺監視用カメラの映像を伝送する用途だと推察した。だが、このICは、「実際にはリーフでは使われておらず、単に実装されていただけ」(車載Ethernetの動向に詳しい人物)だった。

 それではなぜ、車載Ethernetの送受信ICが搭載されていたのか。それは、ECUのサプライヤーが、他の自動車メーカー向けに開発したECUを提供したためとみられる。車載Ethernetの送受信ICを取り除いてリーフ向けに納入するよりも、「実装したままの方が安価に済むと判断したのだろう」(前出の人物)。すなわち、前述の筆者の推察は、他の自動車メーカーのユースケースだったというわけだ。これはあくまで、リーフ販売当初の話で、現在は車載Ethernetの送受信ICは実装されていないとみられる。

 今回のスカイラインでは、先進運転支援システム(ADAS)「プロパイロット」の進化版「プロパイロット2.0」の実現に向けて、車載Ethernetを採用した注2)。同2.0では、高速道路上で同一車線内の手放し(ハンズオフ)と、ナビゲーションに連動した車線変更や追い越しの支援が可能になった。

注2)日本の自動車メーカーでも利用が始まった車載Ethernet。2020年以降、他の日本の自動車メーカーでも、車載Ethernetの採用が始まる見込みである。

 このプロパイロット2.0で利用する「3D高精度地図データ」のピア・ツー・ピア(P2P)の伝送に車載Ethernetを用いたもよう。同データは、cmオーダーの高速道路の形状や全ての車線の区分線、速度標識、案内標識などの情報を持つ。その分データ量は大きく、高速な車載Ethernetの採用に踏み切った。最大データ伝送速度は100Mビット/秒で、車載LANとして、高いデータ伝送速度である。

出典:日経Automotive、2019年12月号 p.15
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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