ダイハツ工業が2019年7月に全面改良した軽自動車「タント」は、同社の新しい車両開発手法「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を最初に適用した車種だ。既存のプラットフォーム(PF)の流用では手を付けられなかったサスペンションの幾何形状を見直し、“素の性能”の向上を図った。

 新型タントが使うのは、DNGAに基づく新開発のPFである(図1、2)。アンダーボディー、パワートレーン、シャシー、シートといった構成要素を同時に刷新したもので、新型タントのチーフエンジニア(CE)を務めた田代正俊氏によれば、「サスペンション配置を最優先で開発し、骨格を最適化した」ものだ。それにより、基本性能の向上と軽量・高剛性化が可能になった(図3)。同社の技術者は、シャシーに関しては、従来はダンパーやブシュ、電動パワーステアリング(EPS)の特性などチューニングレベルでしか性能向上を図れなかった、とその違いを打ち明ける。

図1 ダイハツ工業が2019年7月に全面改良した軽自動車「タント」
DNGA適用の第1弾となった。(撮影:日経 xTECH)
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図2 DNGAに基づく新しいプラットフォーム
(撮影:日経 xTECH)
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図3 新型タントのチーフエンジニアの田代正俊氏
(撮影:日経 xTECH)
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 例えば、後部のサスペンション。トーションビーム式を採用する点は従来と同じ。 だが、クロスビームの両端から前方に伸びるトレーリングアームを、クロスビームから見て垂直ではなく前方にいくほど車両の外側に開く「逆ハの字」形状に変更した(図4)。同社の技術者によれば、こうした幾何形状にすることで、コーナリングの際に後部の車輪が横力をしっかりと受け止め、横方向に踏ん張れるようになる。それにより、乗り心地や操縦安定性といった素の性能を高めた。

図4 床下の鏡に映った後部のサスペンション
トーションビーム式を用いる。写真下側が車両後方、上側が車両前方。クロスビームの両端から前方に伸びるトレーリングアームが車両前方ほど車両の外側を向いている。(撮影:日経 xTECH)
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 DNGAに基づく新PFは、実は、軽自動車だけでなくAセグメントやBセグメントといった小型車への適用も想定したものである。そのため、サスペンションについても、「Aセグメントの形式や幾何形状、配置を基に、クルマがどういう走りをするか仮説を立て検証し、それを軽自動車に落とし込んだ」(同社の技術者)。

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