トヨタ自動車が、ハイブリッド方式の拡大を検討していることが日経 xTECHと日経Automotiveの取材で分かった。これまで20年以上にわたり量産効果を重視して現行方式の“一本やり”と映る開発方針だったが、今後は転換する。国や地域の需要に合わせて現行方式以外を用意して、世界でハイブリッド車(HEV)の普及を推し進める。

図 トヨタ自動車パワートレーンカンパニーPresidentの岸宏尚氏
(撮影:森田直希)
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 1997年に「プリウス」を量産して以来、主軸を担っているのが「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」である。トヨタパワートレーンカンパニーPresidentの岸宏尚氏は、「(ハイブリッド方式として)THSに固執していない。スタートラインの技術と考えている」と話し、「(エンジンを発電専用に活用する)シリーズ方式や48V対応の簡易式などを含めて幅広く検討している」と明かす()。

 さらに岸氏は「顧客の要望や地域性を考慮すると、選択肢を持ったほうが良い。HEVの普及が大事」との考えも示した。THSという独自技術にこだわることで、HEVの普及を妨げることは避けたい思惑が透ける。

 トヨタは最近、HEVの普及を重視する戦略を掲げている。2019年4月、HEV用の部品やシステムを広く外販する方針を発表した。2万件を超える関連特許を無償で提供し、モーターや電池、インバーターなどを他の自動車メーカーに供給するなど踏み込んだ施策を打つ注)

注)THSは、トヨタが「費用対効果が最も高いシステム」(岸氏)と自負する技術で、プリウスや「アクア」などの中小型車を中心に採用してきた。
 一方で、THSに“固執”して囲い込んできた結果、競合他社がHEVを飛び越して電気自動車(EV)に走り、“HEV外し”の潮流が生まれている。トヨタがTHS以外の方式を含めて広く採用していけば、競合他社がHEVを採用する機運を高められる可能性がある。
 世界で燃費規制が強化されており、HEVの重要性は高まっている。トヨタグループのアイシングループは、欧州で採用が進む中大型車向け1モーター式や48V簡易式といったTHS以外の方式を開発する。アイシンはトヨタ以外への販売をもくろむが、トヨタが採用する可能性もある。

 このうち今後大きく普及するとみられる48V簡易式に対して岸氏は、「(トヨタで)主流ではないが、絶対に出さないかというと、そんなことはない。今はかなり自由に考えている」と話し、前向きだった。

 THSは、モーターと発電機を備える「2モーター式」で、それぞれ遊星歯車を介してエンジンとつながり、走行状況に応じて発電と駆動を使い分けて燃費性能を高めている。現在は4世代目で、世代ごとにコストを半分近く下げてきた。2モーター式はホンダや日産自動車も開発しており、日系メーカーが主導している。

出典:日経Automotive、2019年11月号 p.18
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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