環境規制の強化を背景に、2018年以降、多くの自動車メーカーが電気自動車(EV)の市場投入を加速させている。代表的な自動車メーカーの計画だけでも、18~22年までに70車種を超える勢い。そこで、EVの差異化に向けて重要な熱管理システムのトレンドについて、フランス・ヴァレオ(Valeo)の日本法人であるヴァレオジャパンでアジアリージョンサーマルシステム開発部開発部門長を務める能瀬敏光氏に聞いた(図)。

図 ヴァレオジャパンのアジアリージョンサーマルシステム開発部開発部門長の能瀬敏光氏
(写真:編集部)
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EVの熱管理システムは、EVの差異化に向けて重要な役割を担っている技術の1つと思う。Valeoでは、この点についてどう見ているのか。

 EVの時代は、電池をどうケアするかということが非常に大事になる。EVの航続距離の延長に対してもそうだが、急加速や高速走行など大出力を出すためとか、電池の寿命を長くするためにも電池の熱管理が重要である。さらに、冬場の電力消費は非常に大きいので、電費を改善するという側面から、電池だけでなく車両全体の熱管理も重要と考えている。

 電池の熱管理の重要性でもう1つ関連してくるのが、急速充電に対する顧客のニーズである。内燃機関(ICE)車と違って、EVはエネルギー補給(充電)に時間がかかることが課題とされてきた。急速充電は、電池の発熱が増大するため、電池の冷却がカギを握る。

 電池は、温度を25±10度くらいに保たないと、人間と同じで元気がなくなる。熱いと寿命が悪化し、冷たいと出力が低下する。適正な温度から10度以上のずれが一定時間継続すると、電池の性能と寿命は50%低下する。しかも、極力均一に温度を制御しないとリチウムイオン電池の性能を生かし切れない注1)

注1)同氏は次のようにも指摘する。「リチウムイオン電池は高価なので、なるべく少ない電池容量で目標の航続距離を実現できれば、EVのコストを下げられる。現在、電池パックはEVの価格の約50%を占めている。電池のコストを抑制することでEVを手ごろな価格にできれば、EVの普及も進む」。

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